
参考記事:コントロール不良の中等症~重症気管支喘息に対してレブリキズマブは発作の頻度を減少させる
Maher TM, et al.
Phase 2 trial to assess lebrikizumab in patients with idiopathic pulmonary fibrosis
Eur Respir J . 2020 Oct 2;1902442.
背景:
この第2相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験では、特発性肺線維症(IPF)患者を対象に、IL-13モノクローナル抗体であるレブリキズマブを単独またはIPFに対するピルフェニドン療法と併用した場合の有効性と安全性を評価した。
方法:
40歳以上のIPF患者(%努力性肺活量40~100%、%DLCO 25~90%)で、治療歴がない患者(コホートA)あるいはピルフェニドン2403mg/日を投与されている患者(コホートB)をランダムに1:1の割合でレブリキズマブ250mgあるいはプラセボを4週ごとに皮下注射する群のいずれかに割り付けた。主要評価項目は、52週間にわたる%FVCの年間低下率とした。
結果:
コホートAでは、154人の患者がレブリキズマブ(78人)またはプラセボ(76人)の投与を受けるようランダム化された。コホートBでは、ピルフェニドンを投与された351人の患者がレブリキズマブ(174人)またはプラセボ(177人)を投与されるようランダム化された。背景は両コホート間でバランスが取れていた。主要評価項目(%FVCの年間低下率)は、コホートA(レブリキズマブ vs プラセボ -5.2% vs -6.2%; p = 0.456)またはコホートB(レブリキズマブ vs プラセボ -5.5% vs -6.0%; p=0.557)ともに群間差がみられなかった。コホートBで、統計学的に有意ではないもののピルフェニドンとの併用療法に死亡率のわずかな改善がみられた(ハザード比0.42、95%信頼区間0.17-1.04)。薬力学的バイオマーカーでは、レブリキズマブの活性が確認された。安全性プロファイルは、単剤療法としてのレブリキズマブとピルフェニドンの過去の研究と一致していた。
結論:
レブリキズマブ単独またはピルフェニドンとの併用は、薬力学的活性が示されたにもかかわらず、IPF患者において52週間の%FVC低下とは関連していなかった。レブリキズマブの忍容性は高く、安全性が確認された。IL-13の阻害がIPF患者の肺機能に医学的利益をもたらさないことが示唆された。