
木下先生のDPCデータをよくリファレンスとして引用させていただいていますが、こちらもRCTのメタアナリシスも参考になりそうですね。
参考記事:喀血に対するトラネキサム酸は院内死亡率を低下させる
背景:
血痰・喀血はさまざまな肺疾患における症状だが、息切れや死亡率の増加をもたらす。血痰に対して一般的に使用されている抗線溶薬であるトラネキサム酸(TXA)は、出血を抑えることができる。ただし、肺からの出血に対するその効果はほとんど議論されてこなかった。
目的:
血痰・喀血の量と持続期間を減らす効果を調査するため、TXAのランダム化比較試験のシステマティックレビューおよびメタアナリシスをおこなった。
方法:
Cochrane、Embase、PubMed、Scopusデータベースから妥当なRCTを抽出した。2人がCochraneリスクオブバイアスツールver2.0を用いて評価し、プールされた結果を評価した。
結果:
スクリーニングで617文献が得られ、RCTは4つだった。プールされた結果では、TXAとコントロール群の間に出血時間や血痰・喀血の軽快に有意差は観察されなかった。しかしながら、TXA使用は、出血量を減らし(平均差-56.21mL, 95%信頼区間-94.70~-17.72mL)、さらなる処置を要するリスクを軽減し(Petoオッズ比0.24、95%信頼区間0.08-0.67, I2=0%)、入院期間を短縮した(平均差-1.62日、95%信頼区間-2.93~-0.31、I2=0%)。
結論:
TXAは、血痰・喀血患者において出血量、追加処置リスク、入院期間に良好な効果をもたらした。しかしながら、限られたサンプルサイズであり低い検出力に由来するものである点には注意が必要である。大規模RCTが望ましい。