
死亡が少ないとはいえ、論文を読んでいるだけで大変な現場が伝わります。
Burwick BM, et al.
Compassionate Use of Remdesivir in Pregnant Women with Severe Covid-19
Clin Infect Dis . 2020 Oct 8;ciaa1466.
レムデシビルは成人の重症COVID-19に有効だが、妊婦におけるデータは限られている。レムデシビルで治療された重症COVID-19の妊婦86人の転帰について報告する。
方法:
臨床医がコンパッショネートユースを通してレムデシビルを処方した、PCRで診断されたCOVID-19患者のうち室内気の酸素飽和度94%以下の妊婦が登録された(2020年3月21日~6月16日)。レムデシビル治療は10日間の点滴静注とした(初日200mg、2-10日目100mg)。
結果:
86人の女性のうち19人がレムデシビル初回投与前に出産し、すみやかに産後として再分類された(産後中央日数1日、範囲0〜3日)。妊婦の年齢中央値は33歳 (範囲21–43歳)で、産後の女性の年齢中央値は34歳 (範囲20–41歳)だった。産後女性(出産時週数中央値30週)の95%とは対照的に、妊婦(中央値28週)の40%が侵襲的換気を必要とした。28日以内に回復した患者の割合は、妊婦と産後の女性のいずれも高かった(妊婦の93%と産後女性の89%が回復)。人工呼吸器を装着した妊婦の93%が抜管され、93%が回復し、90%が退院した。産後女性の89%が抜管され、89%が回復し、84%が退院した。レムデシビルは忍容性が高く、重篤な有害事象の発生率は低かった。ほとんどの有害事象は妊娠と基礎疾患に関連していた。基礎疾患に起因する妊産婦死亡が1件あったが、新生児死亡はなかった。
(累積回復率:文献より引用)

結論:
レムデシビルのコンパッショネートユースを受けた重症COVID-19の妊娠および産後の86人の女性では、総じて回復率は高く、重篤な有害事象の発生率は低かった。