COVID-19:酸素投与を要する肺炎例に対するトシリズマブ

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28日死亡率を下げるほどではないものの、一定の有効性が示されています。


背景:
 過度の炎症とIL-6上昇を伴う重度の肺炎は、COVID-19の一般的症状である。

目的:
 トシリズマブ(TCZ)が中等度から重度のCOVID-19肺炎で入院した患者のアウトカムを改善するかどうかを調べた。

方法:
 このランダム化比較試験には、少なくとも3L/分の酸素を必要とするものの機械換気を要さずICUに入室しなかったCOVID-19肺炎患者が登録された(2020年3月31日~2020年4月18日)。患者は、28日間追跡された。フランスの9つの大学病院から登録され、解析はITTベースで実施された。

介入:
 患者は、通常ケアに加えて1日目と3日目にTCZ8mg/kgを静脈内に投与される群(TCZ群)と通常ケアのみを受ける群(UC群)にランダムに割り付けられた。通常ケアには抗菌薬、抗ウイルス薬、全身性ステロイド、昇圧剤、抗凝固剤が含まれた。

主要評価項目:
 プライマリアウトカムは4日目におけるWHO-CPS(10ポイントスケール)>5ポイントの臨床進行、14日目における機械換気を要さない生存とした。セカンダリアウトカムは、7日目、14日目のWHO-CPS、全生存期間、退院までの期間、酸素離脱までの期間、CRPなどの血清バイオマーカー、有害事象とした。

結果:
 131人の患者のうち、64人の患者がTCZ群に割り付けられ、67人がUC群に割り付けられた。TCZ群の1人の患者は同意を撤回し、解析に含まれなかった。130人の患者のうち、42人が女性(32%)で、年齢中央値(IQR)は64(57.1-74.3)歳だった。
 TCZ群では、12人の患者のWHO-CPSスコアが4日目で5を超えていたのに対して、UC群では19人が5を超えていた(絶対リスク差中央値-9.0%; 90%確信区間-21.0〜3.1、事前に定義された有効性の定義を満たさず)。14日目の評価では、UC群よりもTCZ群のほうが機械換気(NIV、IPPV)あるいは死亡が12%少なかった(24% vs36%、ハザード比0.58; 90%確信区間0.33-1.00、事前に規定された有効性の定義を満たす)。28日目の評価では、TCZ群の7人が死亡し、UC群の8人が死亡した(補正ハザード比0.92、95%信頼区間0.33-2.53)。重篤な有害事象は、TCZ群の20人(32%)、UC群の29人(43%)で発生した(p=0.21)。
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(プライマリアウトカム:文献より引用)

結論:
 酸素投与を要するがICUに入室していないCOVID-19肺炎患者を対象としたランダム化比較試験では、通常ケアと比較してTCZは4日目にWHO-CPSスコアを有意に低下させなかったが、14日目までのNIV・IPPVまたは死亡率を低下させた。28日目死亡率に差はみられなかった。




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by otowelt | 2020-10-22 00:35 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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