COVID-19:STOP-COVIDコホートにおいてトシリズマブを使用された患者は院内死亡リスクが低い

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JAMAの3連発アクテムラ論文の1つ、アメリカの試験です。


背景:
 COVID-19の重症患者の生存率を改善する治療法が求められている。IL-6受容体に対するモノクローナル抗体であるトシリズマブは、重症COVID-19患者のサイトカイン放出症候群に効果があるかもしれない。

目的:
 トシリズマブがこの集団の死亡率を低下させるかどうかを調べること。

方法:
 2020年3月4日~5月10日までに全米68病院のICUに入院したCOVID-19成人患者4485人を対象とした多施設コホート研究からデータを得た。COVID-19の重症成人は、ICU入室後初期2日間にトシリズマブを投与されたかどうかによって分類された。データは2020年6月12日まで追跡収集された。交絡因子を調整するために逆確率重み付け法を使用したCox回帰モデルが用いられた。

曝露:
 ICU入室の初期2日間におけるトシリズマブによる治療。

主要評価項目:
 死亡までの期間(ハザード比)、30日死亡率(リスク差)。

結果:
 解析に含まれた3924人の患者(男性は2464人[62.8%];年齢中央値62歳 [IQR52-71歳])のうち、433人(11.0%)がICUの初期2日間にトシリズマブを投与された。トシリズマブで治療された患者は若年で(年齢中央値58歳 [IQR48-65歳] vs 63歳[IQR52-72歳])、ICU入室時の低酸素血症(P/F<200mmHgで人工呼吸器を装着)の頻度が高かった(433人中205人[47.3%] vs 3591人中1322人[37.9%])。逆確率重み付け法を適用すると、群間で患者特性はバランスが取れていた。トシリズマブで治療された125人(28.9%)とトシリズマブで治療されなかった1419人(40.6%)を含む、合計1544人の患者が死亡した(39.3%)。一次解析では、追跡期間中央値27日(IQR14-37日)において、トシリズマブ治療を受けた患者は死亡リスクが低かった(ハザード比0.71; 95%信頼区間0.56- 0.92)。推定30日死亡率は、トシリズマブ治療を受けた患者で27.5%(95%信頼区間21.2%-33.8%)、トシリズマブ治療を受けていない患者で37.1%(95%信頼区間35.5%-38.7%)だった(リスク差9.6%; 95%信頼区間3.1%-16.0%)。
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(死亡率:文献より引用)

結論:
 このコホート研究におけるCOVID-19の重症患者では、ICU入室初期2日間でトシリズマブを投与された患者では、投与されていない患者よりも院内死亡リスクが低かった。ただし、調査結果は不測の交絡因子の影響を受けている可能性がある。





by otowelt | 2020-10-22 02:08 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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