喘息小児の親の心理的影響

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 喘息の小児の親だから精神的につらいのか、精神的につらいから小児喘息が悪くなるのか。


目的:
 小児喘息とその介護者の心理社会的関係を明らかにすること。

研究デザイン:
 2010年から2016年の間に、スペインのサラゴサにある2クリニックに通院する喘息小児(6〜14歳)を対象に症例対照研究を実施した。臨床データは診療録から収集され、心理社会的障害の有無は親へのインタビューによって評価された。質問票(Goldberg、CES-D、SF-12、PSS、SPIN)を喘息小児および健康ボランティアの介護者に実施した。重症の喘息を予測するためのロジスティック回帰モデルが適用された。

結果:
 208人の小児が評価された(喘息群104例、コントロール群104人)。平均年齢は9.7±2.4歳で、男児が多かった(62.5%)。不安、社会不安、うつ病、急性・慢性の精神障害、精神的健康QOLの低下は、喘息小児の介護者で有意に多くみられた(p <0.05)。多変量解析では、上記のすべての障害がコントロール不良の喘息リスクを有意に増加させ、不安、急性精神障害、慢性精神障害が最も有意だった(オッズ比8.54、95%信頼区間3.46-21.05、p <0.001; オッズ比6.05、95%信頼区間2.39-15.28、p <0.001、オッズ比4.86、95%信頼区間1.97-12.02、p = 0.001)。

結論:
 健康な小児の介護者と比較した場合、喘息の小児の介護者における心理社会的障害の有病率は高い。不安、社会恐怖症、うつ病、QOL低下は、児の喘息コントロール悪化リスクの増加と関連している。これらの障害の早期発見と治療は、小児喘息のコントロールにプラスの影響を与える可能性がある。


by otowelt | 2021-01-10 00:50 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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