世界的にたくさん検査されているのに、あまり検討されてこなかった知見でもあります。
目的:
6分間歩行テスト(6MWT)は、COPD患者の生理学的機能を評価するための便利なツールである。近年の研究では、6MWT中に酸素飽和度が低下したCOPD患者は、酸素飽和度が低下していない患者と比較して、悪化および死亡リスクが高いことが示された。この研究は、COPD患者の運動誘発性酸素飽和度低下の潜在的リスク因子を調査することを目的としている。
患者および方法:
COPDの成人患者は、2013年1月~2017年1月の間にChang Gung Research Databaseから登録された。年齢、性別、BMI、基礎疾患、投薬内容、肺機能検査、6MWTの結果が後ろ向きに収集および分析された。
結果:
COPD患者の1768人のうち、6MWT中に932人(52.7%)の患者で酸素飽和度が低く、他の836人(47.3%)は酸素飽和度が低下しなかった。低酸素血症があった患者は、なかった患者よりも6分間歩行距離が短かった(352.08 ± 120.29m vs 426.56 ±112.56m、p <0.0001)。多変量ロジスティック回帰分析では、高齢、女性、1秒量低下、心房細動の併存が、6MWT中の酸素飽和度低下と関連していた。低酸素血症のある患者は、1年間の追跡期間において、低酸素血症がない患者よりもCOPD増悪の頻度が高かった(0.59±1.50 vs 0.34±1.26、p<0.0001)。心房細動を伴うCOPD患者は、救急外来受診あるいは入院の必要性があるCOPD増悪率も高かった。
結論:
この研究は、高齢、低1秒量、女性が労作時低酸素血症のリスク因子であることを示している。また、1年間の追跡において頻回のCOPD増悪と関連している。