IIPにおけるNSIP with OP overlapパターン
2020年 12月 21日
用語の定義は日々変遷していきます。CHPではないfibrotic HPだ、possible UIPではないprobable UIPだ、fibrosing OPではない・・・という見解も大事ですが、最新の用語をリアルタイムで踏襲していることが臨床で最優先されることではないとは思います。
Respir Med . 2020 Oct 21;174:106201.
背景:
NSIPとOPはIIPの主要サブタイプであり、膠原病と密接に関連している。「NSIP with OP overlap」は、IPAFの基準に近年用いられている議論の余地がある所見である。この所見についてのデータは限られている。
目的:
IIPにおける「NSIP with OP overlap」パターンの頻度を同定し、特発性NSIP(iNSIP)との違いを特定すること。
方法:
外科的肺生検を受けた39研究所からの間質性肺炎患者524人において、444人がクラウドベースの統合データベースを介したMDDによってIIPと診断された。これらの患者のうち、iNSIPを有する44人(9.9%)および組織病理学的に定義された「NSIP with OP overlap」パターン(病理学的にNSIPおよびOPパターンであるがUIPパターンは伴わない)を有する21人(4.7%)を後ろ向きに研究した。
結果:
「NSIP with OP overlap」パターンの患者は、iNSIPと比較して、高分解能HRCTにおいてよりコンソリデーションが多く(p < 0.001)、胸膜直下すりガラス陰影が多く(p = 0.036)、肺末梢かつ気管支血管束に沿った分布をとることが多かった(p = 0.009)。追跡中に新たに発生した膠原病の発生率は両群で類似しており、多発性筋炎/皮膚筋炎は両群で最も頻度の高い膠原病だった。患者のほぼ半数がIPAF基準を満たしていたが、iNSIPと「NSIP with OP overlap」パターンの間に有意差はみられなかった(47.7% vs 42.9、p=0.712)。急性増悪の発生率と生存率は両群で類似していた。
結論:
IIPにおける「NSIP with OP overlap」パターン発生率は4.7%である。追跡中に新たに発生した膠原病は、主に多発性筋炎/皮膚筋炎であり、iNSIPと比較して急性増悪の頻度や生存率は同様だった。
by otowelt
| 2020-12-21 00:22
| びまん性肺疾患