肺炎を有するCOPD増悪に対する全身性ステロイド

肺炎を有するCOPD増悪に対する全身性ステロイド_e0156318_1312221.png
目的:
 過去の研究では、試験デザインの問題から、肺炎によるCOPD増悪に対する全身性ステロイドのコンセンサスは得られていない。この多施設共同研究は、交絡因子を補正することによって、肺炎によるCOPD増悪における全身性ステロイドの有効性を正確に評価することを目的とした。

患者および方法:
 この多施設共同後ろ向き観察研究は、日本の5つの急性期総合病院で実施された。非経口/経口全身性ステロイド治療と肺炎によるCOPD増悪の臨床的安定までの時間の関連を分析した。当該患者組み入れのために、ICD-10を用いた登録をおこなった。他の低酸素血症の原因(喘息増悪、気胸、心不全)および複雑な肺炎(閉塞性肺炎、膿胸)の患者、気管挿管/昇圧剤を必要とする患者、入院日に臨床的に安定していた患者は除外された。プライマリアウトカムは、臨床的安定までの時間とした。欠測データには多重代入法が使用された。潜在的交絡因子を用いて各代入データセット内の傾向スコアが計算された。死亡と臨床的安定が得られなかった退院の競合リスクを説明するため、Fine and Greyモデルを各データセット内で使用し、結果を統合した。

結果:
 合計1237人の患者が含まれた。全身性ステロイド治療は658人の患者(53%)に投与された。ステロイド使用者と非ステロイド使用者の臨床的安定性が得られるまでの時間の推定再分布ハザード比は0.89(95%信頼区間0.78-1.0)だった。退院までの同ハザード比は1.21 (95%信頼区間0.81–1.8)だった。

結論:
 この研究は、全身ステロイド治療が肺炎を有する軽症~中等症COPD増悪患者の臨床的安定が得られるまでの時間を改善しない可能性があることを明らかにした。全身ステロイド治療の有効性を正確に評価するには、より重症の患者を含むランダム化比較試験が必要である。






by otowelt | 2020-11-20 15:53 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31