COVID-19:喘息患者におけるSARS-CoV-2感染の実状

COVID-19:喘息患者におけるSARS-CoV-2感染の実状_e0156318_9473145.png

 ICSでしっかり守られている人は、リスクが高くないのかもしれません。


背景:
 COVID-19の重症度と特定の慢性疾患の存在との関連が示唆されている。しかし、インフルエンザや他のウイルスとは異なり、喘息患者の病気の影響はそれほど明白ではなかった。

目的:
 喘息患者におけるCOVID-19の影響を理解すること。

方法:
 SAVANA Manager®臨床プラットフォームを介したビッグデータ分析と人工知能を使用して、2020年1月1日から5月10日までの喘息患者の臨床データを分析した。

結果:
 喘息71182人の患者のうち、1006人(1.41%)がCOVID-19に罹患していた。COVID-19を有さない喘息患者と比較して、COVID-19の喘息患者は有意に高齢で(55歳 vs 42歳)、主に女性(66% vs 59%)で、喫煙頻度が高く、高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満の有病率が高かった。鼻炎や湿疹などのアレルギー関連因子は、COVID-19の喘息患者で少なかった(p <.001)。これらの併存疾患は、入院を要したCOVID-19患者でもよく観察された。吸入ステロイドの使用は、入院していないCOVID-19患者と比較して、入院を要したCOVID-19患者で頻度が低かった(48.3% vs 61.5%; オッズ比0.58:95%信頼区間0.44-0.77)。生物学的製剤で治療された患者(n = 865; 1.21%)は、喘息重症度の増加や併存疾患数の増加を示したが、これらの患者のCOVID-19関連入院は比較的低かったといえる(0.23%)。

結論:
 喘息とCOVID-19を合併した患者は高齢で、併存疾患に関連する要因のためにリスクが高くなった。 ICSと生物製剤は一般的に安全で、重度のCOVID-19感染に対する防御効果と関連している可能性がある。



by otowelt | 2020-12-11 00:16 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
カレンダー