COVID-19:外来軽症患者におけるフルボキサミン
2020年 11月 13日
ルボックス、デプロメールです。心筋保護作用とか抗炎症作用とかいろいろ報告されている薬剤ですが、どうなんでしょう。
背景:
COVID-19は、過剰な免疫応答の結果として深刻な病状につながる可能性がある。フルボキサミンは、サイトカイン産生を抑制するσ-1受容体を刺激することで、臨床的悪化を防ぐ可能性がある。
目的:
外来における軽症COVID-19に投与されたフルボキサミンが、その後の臨床的悪化を防ぎ、疾患の重症度を軽減するかどうか判断すること。
方法・介入:
フルボキサミンとプラセボの二重盲検ランダム化(非接触フルリモート)臨床試験である。参加者は、7日以内にCOVID-19症状を発症し、酸素飽和度が92%以上であった、SARS-CoV-2の非入院成人である。 2020年4月10日から2020年8月5日まで、セントルイス大都市圏(ミズーリ州・イリノイ州)から152人の参加者が登録された。追跡最終日は2020年9月19日である。参加者は、100 mgのフルボキサミン(80人)あるいはプラセボ(72人)を1日3回15日間投与するようにランダム化割り付けされた。
主要評価項目:
ランダム化15日以内の臨床的悪化。具体的には、(1)息切れ、または息切れや肺炎による入院、および(2)室内気で酸素飽和度92%未満または92%以上を維持するために酸素投与が必要の2基準を満たすものとした。
結果:
ランダム化された152人の患者(平均年齢、46±13歳; 109人[72%]が女性)のうち、115人(76%)が試験を完遂した。臨床的悪化は、フルボキサミン群の患者80人中0人、プラセボ群の患者72人中6人で発生した(絶対差8.7%[95%信頼区間1.8%-16.4%];P =0.009 )。フルボキサミン群に1件の重篤な有害事象と11件のその他の有害事象があり、プラセボ群には6件の重篤な有害事象と12件のその他の有害事象が観察された。胃炎・悪心・嘔吐はそれぞれ1人(1.3%)、5人 (6.9%)にみられた。
図. 臨床的悪化(文献より引用)
結論:
有症状COVID-19の成人外来患者を対象としたこの予備的研究では、フルボキサミンで治療された患者は、プラセボと比較して15日間のCOVID-19の臨床的悪化の頻度が低かった。ただし、この研究はサンプルサイズが小さく、追跡期間が短いことから、臨床効果を判断するには大規模なランダム化比較試験が必要である。
by otowelt
| 2020-11-13 15:02
| 感染症全般