ACOはCOPD単独と比べてアウトカム不良ではない
2020年 12月 25日
日本のまとまったACOの報告です。COPDのどのくらいがACOなのか、個人的実感に近いです。ACOはCOPDより悪いと思われがちですが、喘息コンポーネントは基本的に予後不良とは関係しないというのは重要な知見です。
喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)は、COPD単独の場合よりもQOLが低く、増悪が多く、死亡率の高さとも関連している。ただし、ACOの臨床的特徴とアウトカムは議論の余地がある。
患者および方法:
石巻COPDネットワークレジストリから登録された安定期COPD患者データを分析する前向き観察研究を実施した。変動性の呼吸器症状の病歴があり、可逆性のある気流制限によって喘息の特徴を有する患者が同定され、ACOと定義された。臨床的特徴、増悪の頻度、3年間の追跡期間中の死亡率を、ACO患者とCOP単独患者の間で比較した。
結果:
COPD患者387人のうち、41人(10.6%)がACOを有していた。ACOの患者は、若年で、高BMIで、喫煙歴が短く、呼吸器系の薬剤、特に吸入ステロイドを多く使用する傾向があった。FeNO、血中好酸球数、総IgE値、抗原特異的IgEを含む炎症性バイオマーカーは、COPD単独患者よりもACO患者で有意に高かった。肺機能、mMRCスコア、CATスコア、併存疾患指数、グループ間で差はなかった。入院が必要な全増悪および重症増悪の年間発生率は、ACOとCOPD単独で差はなかった(それぞれ0.20 vs 0.14、0.12vs 0.10 [1人あたりイベント数])。死亡率は、ACO患者と比較してCOPD単独患者で有意に高かった(P = 0.037)。
結論:
われわれの研究結果は、ACOが適切な治療を受けている外来安定期COPD患者コホートにおける臨床的特徴や転帰に影響していないことを示した。
by otowelt
| 2020-12-25 00:26
| 気管支喘息・COPD