背景:
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、大動脈瘤の有病率増加と関連しており、重度のOSAが腹部動脈瘤の増大を促進することが示唆されている。OSAが上行性胸部大動脈瘤(TAA)の進行の危険因子であるかどうかを評価した。
方法:
TAA患者は、3年間にわたって上行大動脈に対する超音波測定とHSATを受けた。プライマリアウトカムは無呼吸低呼吸指数(AHI)と関連したTAA拡大率とした。セカンダリアウトカムには、大動脈イベント(破裂、解剖、待機的手術、および死亡の複合エンドポイント)が含まれた。
結果:
2014年7月~2020年3月の間に、230人の患者(年齢中央値70歳、男性78%)がコホートに参加した。ベースラインで、患者の34.8%がAHI>15以上だった。ベースラインでのTAA径とAHIの間に関連はなかった。3年後の平均拡張率は、大動脈洞で0.55±1.25mm、上行大動脈で0.60±1.12mmだった。ベースラインTAA径と心血管リスク因子を補正した回帰分析では、TAA拡張とAHIには正の相関がみられた(大動脈洞推定値0.025 mm [95%信頼区間0.009〜0.040]、p <0.001;上行大動脈推定値0.026 mm [95%信頼区間0.011〜0.041]、p = 0.001)。 20人の参加者(8%)が大動脈イベントを経験したが、OSAの重症度との関連はなかった。
結論:
OSAは、TAAの拡大を促進する独立リスク因子である可能性があり、生命を脅かす合併症の一因となるかもしれない。