小児喘息に対するマグネシウム吸入は入院を減らさない
2020年 12月 15日
コクランレビューではわずかな利益はあるものの、推奨されるほどのものではないとしています(Cochrane Database Syst Rev . 2017 Nov 28;11(11):CD003898.)。
背景:
静注マグネシウムは難治性の小児急性喘息の入院を減少させるが、侵襲性と安全性の懸念があり使用は一定しない。入院を防ぐためのマグネシウムネブライザーの利点は不明である。
目的:
初期治療後に中等度~重度の呼吸困難が残っている喘息増悪の小児におけるマグネシウムネブライザーの有効性を評価すること。
方法:
2011年9月26日~2019年11月19日まで、カナダの7つの三次医療小児救急科で実施したランダム化二重盲検並行群間臨床試験である。参加者は、経口ステロイド投与1時間後、アルブテロール+イプラトロピウム3吸入後に小児呼吸評価尺度(PRAM)スコアが5以上(12点満点)を有する中等度~重度の喘息増悪の2〜17歳の小児である。5846人のうち、4332人が基準から除外され、273人が参加を拒否し、423人が除外された。818人がランダム化され、816人が解析された。
介入:
参加者は、アルブテロール治療に硫酸マグネシウム(410人)または5.5%食塩水のプラセボ(408人)のいずれかのネブライザー吸入を追加するようランダム化された。
主要評価項目:
24時間以内の喘息による入院とした。副次的評価項目には、PRAMスコアが含まれた。また60分、120分、180分、240分後の、呼吸数、酸素飽和度、20分、40分、60分、120分、180分、240分後の血圧、240分以内のアルブテロール治療の有無も評価した。
結果:
ランダム化された818人(年齢中央値5歳、男児63%)のうち、816人が試験を完遂した(409人:マグネシウム、407人:プラセボ)。マグネシウムネブライザーを受けた409人の小児のうち178人(43.5%)が入院したのに対して、プラセボを投与された407人のうち194人(47.7%)が入院した(差-4.2%;絶対リスク差95%信頼区間-11%~2.8%; P =0.26)。ベースラインから240分までの、PRAMスコアの変化(差0.14ポイント、95%信頼区間-0.23~0.50]; P =0.46)、呼吸数の変化(差0.17/分、95%信頼区間-1.32〜1.67; P =0.82)、酸素飽和度の変化(差-0.04%、95%信頼区間-0.53%〜0.46%; P =0.88)、収縮期血圧の変化(差0.78 mm Hg、95%信頼区間-1.48〜3.03; P =0.50)、追加アルブテロール治療平均数(P =0.47)にも群間差はなかった。マグネシウムネブライザーを受けた409人の小児の17人(4%)とプラセボネブライザーを受けた407人のうち5人(1%)で、嘔気/嘔吐または鼻咽頭痛がみられた。
結論:
救急受診した難治性喘息増悪の小児では、アルブテロールを併用したプラセボと比較して、アルブテロールを併用したマグネシウムのネブライザー吸入は、24時間以内の喘息入院率を有意に低下させなかった。
by otowelt
| 2020-12-15 01:28
| 気管支喘息・COPD