気管支鏡後の肺炎のリスク因子
2020年 12月 17日
本当に報告が少ない分野なので、貴重です。
背景および目的:
気管支鏡検査は通常は安全であるが、肺炎などの合併症を伴うことがある。ただし、予防的な抗菌薬の使用は、イギリス胸部疾患学会のガイドラインでは推奨されていない。過去、気管支鏡検査後の肺炎の危険因子に関する報告はほとんどない。
方法:
2006年4月~2011年11月の間に、当院で2666の診断的気管支鏡検査を受けた合計2265人の患者の診療記録から気管支鏡検査後の肺炎が発症した患者に関するデータを後ろ向きに収集した。肺炎群の2倍の患者が、対照群として登録された(年齢性別をマッチ)。
結果:
全体で37人の患者(1.4%)が気管支鏡検査後の肺炎を罹患した。単変量解析では、肺炎群の患者の多くが気管・気管支の狭窄を有していた(75.7% vs 18.9%、p <0.01)。また肺炎群の多くは原発性肺癌の診断が多かった(75.7% vs 43.2%、p <0.01)。肺炎群は、対照群よりも喫煙歴が多かった(83.8% vs 67.1%、p = 0.06)。また、気管支肺胞洗浄(BAL)を受けている頻度が低かった(4.3% vs 14.9%、p = 0.14)。多変量解析では、気管・気管支の狭窄が気管支鏡後肺炎の独立危険因子だった(オッズ比7.8、95%信頼区間2.5-24.2)。
結論:
気管・気管支の狭窄は、年齢・性別を一致させた症例対照研究の多変量解析によって、気管支鏡検査後の肺炎の独立危険因子とわかった。
by otowelt
| 2020-12-17 00:41
| 気管支鏡