肺癌診断例における気管支鏡後肺膿瘍の頻度
2021年 01月 08日

複十字病院から報告です。
背景:
気管支鏡検査後の肺炎は、気管支鏡検査後の重要な合併症だが、気管支鏡検査後の肺膿瘍はまれである。しかし、気管支鏡検査技術は進歩しているが、近年気管支鏡検査後に肺膿瘍患者がみられるようになった。このリスク要因は過去の報告とは異なる場合がある。この研究は、気管支鏡検査後の呼吸器感染症の発生率とリスク因子を特定するために実施された。
方法:
2017年1月~2019年6月まで複十字病院において気管支鏡検査により肺癌と診断された成人患者を後ろ向きに調査した。感染群と非感染群を比較した。肺膿瘍の発生率は、ガイドシース併用気管支内超音波検査(EBUS-GS)が当院でまだ使用されていなかった2013年までとそれ以降で比較された。
結果:
感染群の20人の患者(6.1%)を含む327人をレビューした。感染のリスク因子は、腫瘍の壊死・空洞(p <0.001)、大きな腫瘍径(≧30mm)(p = 0.010)、低アルブミン血症(<4.0 g/dL)だった(p = 0.010)。これらのリスク因子を使用して予測スコアを作成したところ、AUC0.737(95%信頼区間0.610-0.864)だった。年齢、現在の喫煙状況、異常な気管支鏡所見に有意差は観察されなかったが、これらは過去にリスク因子として報告されていた。合計12人の患者が肺膿瘍(3.7%)を有し、これは2013年以前(0.8%)よりも高い発生率だった。
結論:
われわれの研究によると、気管支鏡検査後の呼吸器感染症を発症するリスク因子は、おそらくEBUS-GSなどの気管支鏡技術の進歩のために、過去の報告とは異なるものとなった。
by otowelt
| 2021-01-08 00:59
| 気管支鏡









