本の紹介:理論疫学者・西浦博の挑戦-新型コロナからいのちを守れ!


「8割おじさん」こと西浦先生の本。実直で、天才で、とてもやさしい人だと思います。私は感染症数理について、呼吸器内科でいえば肺が5葉ありますというほどの知識しかありませんが、この本には難しい話は出てきません。端的に書くなら「クラスター対策班活動日記」です。

餃子の王将の話と、おかし・カップラーメン無限大の話はゲラゲラ笑いました。


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発売日:2020年12月8日
単行本 : 292ページ
価格 : 1760円 (税抜)
出版社 : 中央公論新社
著者 : 西浦博先生、川端裕人


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帯には「僕には脅迫状が届き、生まれて初めて殺害予告を受けました」という驚きの文言が。「これ映画化できますやん!」とワクワクしつつ読み始めました。

西浦先生は2020年1月の段階で、すでに北海道から東京へ上京していたそうです。感染症学やウイルス学の専門家の間で「どうもこれはおかしいぞ」という情報が流れ始め、パンデミックに陥る可能性が危惧されていました。国民がそれを意識しだしたのは、もっと後のことです。

当初は足並みを揃えていたクラスター対策班と厚労省ですが、次第にそのボタンが掛け違っていく様が記録されています。「これって書いて大丈夫なんですか!?」と思う記述も結構あった。ラッセル・クロウが数学者を演じた『ビューティフル・マインド』と同じく、実は幻覚だったというオチになってほしいくらい、ひどい仕打ちもありました。

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このウイルスの感染制御の本質は、接触の抑制にあります。ロックダウンは強力な武器になりますが、跳ね返ってくるダメージが大きいため、日本では落としどころが探られています。そんな中でも、経済学の専門家がなかなか入ってこなかったというのは非常に残念であります。

西浦先生は、自分自身の知が武器であることを分かっておられます。しかし世の中には、自分がその分野に無知であることを知りながら、蓋をして、背伸びする連中がいる。残念ながら、そういう人たちが専門家のハードルになってしまうことがある。私は、感染症数理の仔細を理解するだけの素地がなく、その無知を知っているからこそ、彼らを心から応援したい。






by otowelt | 2020-12-12 10:02 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優