COVID-19:インフルエンザより院内死亡率は高い
2020年 12月 18日

インフルエンザよりは明らかに毒性が高いですね・・・。
Piroth L, et al.
Comparison of the characteristics, morbidity, and mortality of COVID-19 and seasonal influenza: a nationwide, population-based retrospective cohort study.
Lancet Respir Med 2020 Published Online December 17, 2020
Piroth L, et al.
Comparison of the characteristics, morbidity, and mortality of COVID-19 and seasonal influenza: a nationwide, population-based retrospective cohort study.
Lancet Respir Med 2020 Published Online December 17, 2020
背景:
現在まで、インフルエンザの流行は、同様の感染様式を伴う呼吸器疾患であるため、COVID-19流行のモデルとしての適していると考えられてきた。ただし、2疾患を直接比較するデータは不足している。
方法:
フランスの全入院の退院要約を含むフランス行政データベース(PMSI)を使用して、後ろ向きコホート研究を実施した。2020年3月1日~4月30日までにCOVID-19で入院した全患者、2018年12月1日~2019年2月28日までにインフルエンザで入院した全患者が含まれた。COVID-19およびインフルエンザはICD-10に基づいた。COVID-19およびインフルエンザで入院した患者間のリスク因子、臨床的特徴、転帰の比較が行われ、さらに年齢層ごとに層別化されて比較された。
結果:
COVID-19の89530人、インフルエンザの45819人がそれぞれの期間中にフランスで入院した。患者の年齢中央値は、COVID-19で68歳(IQR 52–82)、インフルエンザで71歳(34–84)だった。COVID-19の患者は、インフルエンザの患者よりも肥満または過体重で、糖尿病、高血圧、脂質異常症の頻度が高かったのに対し、インフルエンザの患者は、心不全、慢性呼吸器疾患、肝硬変、鉄欠乏性貧血の頻度が高かった。COVID-19で入院した患者は、インフルエンザ患者よりも急性呼吸不全、肺塞栓症、敗血症性ショック、出血性脳卒中を発症する頻度が高かったが、心筋梗塞や心房細動を発症する頻度は低かった。院内死亡率は、COVID-19の患者の方がインフルエンザの患者よりも高く(15104人[16.9%] /89530人 vs 2640人[5.8%] /45819人)で、相対死亡リスクは2.9だった(95%信頼区間2.8–3.0)。また、年齢標準化死亡比は2.82だった。入院患者のうち、小児患者(<18歳)の割合はインフルエンザよりもCOVID-19の方が少なかった(1227人 [1.4%] vs 8942人[19.5%])。5歳未満の患者では、インフルエンザよりもCOVID-19のほうが集中治療を要する頻度が高かった(2.3% vs 0.9%)。青年期(11〜17歳)では、COVID-19の院内死亡率はインフルエンザよりも10倍高かった(1.1% vs 0.1%)。
結論:
入院を要するCOVID-19患者と季節性インフルエンザの患者の症状はかなり差異がある。SARS-CoV-2は呼吸器系の病原性が高く、死亡率が高くなる可能性がある。小児では、COVID-19の入院率はインフルエンザよりも低いように見えるが、院内死亡率は高い。ただし、患者数が少ないとため、この知見は限定的である。これらの調査結果は、COVID-19の適切な感染予防策の重要性、ワクチンと治療の必要性を浮き彫りにしている。
by otowelt
| 2020-12-18 21:25
| 感染症全般