COVID-19:軽症COVID-19に対するニタゾキサニド
2020年 12月 27日
抗寄生虫薬とウイルス治療というくらいしか耳にしたことがなく、ほとんど存じ上げません。
Patricia R. M. Rocco, et al.
Early use of nitazoxanide in mild Covid-19 disease: randomised, placebo-controlled trial.
European Respiratory Journal 2020; DOI: 10.1183/13993003.03725-2020
Patricia R. M. Rocco, et al.
Early use of nitazoxanide in mild Covid-19 disease: randomised, placebo-controlled trial.
European Respiratory Journal 2020; DOI: 10.1183/13993003.03725-2020
背景:
ニタゾキサニドは広く入手可能であり、in vitroで幅広い抗ウイルス活性を示す。ただし、SARS-CoV-2感染に対するエビデンスはない。
方法:
この多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対照試験において、COVID-19患者で症状(乾性咳嗽、発熱、倦怠感)の発症後3日以内に発症した成人患者が登録された。鼻咽頭スワブでのRT-PCRによるSARS-CoV2感染が確認された後、患者は1:1でランダム化され、ニタゾキサニド(500 mg)1日3回またはプラセボ1日3回のいずれかを5日間投与された。プライマリアウトカムは、症状の完全な軽快とした。セカンダリアウトカムは、ウイルス量、臨床検査、炎症性バイオマーカー、入院率とした。また、有害事象も評価された。
結果:
2020年6月8日から8月20日まで、1575人の患者がスクリーニングされた。これらのうち、392人(198人:プラセボ、194人:ニタゾキサニド)が分析された。症状発現から治験薬の初回投与までの期間の中央値は5日だった。症状の軽快について、ニタゾキサニド群とプラセボ群の間で有意差はなかった。ニタゾキサニド群の患者の29.9%でSARS-CoV-2が陰性であったのに対し、プラセボ群では18.2%だった(p = 0.009)。ウイルス量は、プラセボと比較してニタゾキサニド後に減少した(p = 0.006)。治療開始から終了までのウイルス量減少率は、プラセボ(45%)よりもニタゾキサニド(55%)の方が高かった(p = 0.013)。他のセカンダリアウトカムは有意差がなかった。重篤な有害事象は観察されなかった。
結論:
軽症COVID-19患者では、ニタゾキサニド5日間の治療後によって症状軽快に差はなかった。しかしながら、初期のニタゾキサニド療法は安全であり、ウイルス量を大幅に減らすことが示された。
by otowelt
| 2020-12-27 00:37
| 感染症全般