COVID-19:軽症COVID-19に対するニタゾキサニド

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 抗寄生虫薬とウイルス治療というくらいしか耳にしたことがなく、ほとんど存じ上げません。

Patricia R. M. Rocco, et al.
Early use of nitazoxanide in mild Covid-19 disease: randomised, placebo-controlled trial.
European Respiratory Journal 2020; DOI: 10.1183/13993003.03725-2020


背景:
 ニタゾキサニドは広く入手可能であり、in vitroで幅広い抗ウイルス活性を示す。ただし、SARS-CoV-2感染に対するエビデンスはない。

方法:
 この多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対照試験において、COVID-19患者で症状(乾性咳嗽、発熱、倦怠感)の発症後3日以内に発症した成人患者が登録された。鼻咽頭スワブでのRT-PCRによるSARS-CoV2感染が確認された後、患者は1:1でランダム化され、ニタゾキサニド(500 mg)1日3回またはプラセボ1日3回のいずれかを5日間投与された。プライマリアウトカムは、症状の完全な軽快とした。セカンダリアウトカムは、ウイルス量、臨床検査、炎症性バイオマーカー、入院率とした。また、有害事象も評価された。

結果:
 2020年6月8日から8月20日まで、1575人の患者がスクリーニングされた。これらのうち、392人(198人:プラセボ、194人:ニタゾキサニド)が分析された。症状発現から治験薬の初回投与までの期間の中央値は5日だった。症状の軽快について、ニタゾキサニド群とプラセボ群の間で有意差はなかった。ニタゾキサニド群の患者の29.9%でSARS-CoV-2が陰性であったのに対し、プラセボ群では18.2%だった(p = 0.009)。ウイルス量は、プラセボと比較してニタゾキサニド後に減少した(p = 0.006)。治療開始から終了までのウイルス量減少率は、プラセボ(45%)よりもニタゾキサニド(55%)の方が高かった(p = 0.013)。他のセカンダリアウトカムは有意差がなかった。重篤な有害事象は観察されなかった。

結論:
 軽症COVID-19患者では、ニタゾキサニド5日間の治療後によって症状軽快に差はなかった。しかしながら、初期のニタゾキサニド療法は安全であり、ウイルス量を大幅に減らすことが示された。



by otowelt | 2020-12-27 00:37 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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