CTガイド下針生検の気胸のリスク因子②

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 側臥位について過去に記述がないと書かれていましたが、JTDに報告されていたと思います。タイトルが過去記事と同じなので②をつけました。



目的:
 最大のスカンジナビアのデータセットの1つにおいて、気胸、およびCTガイド下肺生検後に胸腔ドレナージを必要とする気胸の予測因子の解析をおこなった。

方法:
 2012年1月27日~2017年3月1日までに1施設786人の患者から875の生検を前向きに登録し、胸腔ドレナージの有無にかかわらず気胸を含む合併症を記録し、複数の変数が合併症に関連すると想定した。多変量ロジスティック回帰分析により、気胸および胸腔ドレナージを必要とする気胸の予測因子を特定した。

結果:
 生検した病変のうち、65%が悪性、29%が良性、6%が不確定だった。気胸は処置の39%で発生し、胸腔ドレナージは10%に行われた。多変量解析では、気胸の有意な予測因子は、肺気腫(オッズ比1.92)、病変サイズの小ささ(オッズ比0.83/1 cm増加あたり)、手技中の側臥位(オッズ比2.00)、穿刺時間延長(オッズ比1.09/1分ごと)、新しい部位からの針挿入(オッズ比3.04)、葉間裂の貫通(オッズ比5.21)、胸膜までの距離の短さ(オッズ比0.79/1 cm増加ごと)が予測因子だった。胸腔ドレナージを要する気胸の予測因子は、肺気腫(オッズ比4.01)、側臥位(オッズ比2.61)、葉間裂の貫通(オッズ比4.17)だった。

結論:
 気胸の予測因子は、肺気腫、側臥位、葉間裂の貫通、新しいからの針挿入、胸膜までの距離だった。気胸の予測因子として側臥位については過去に記述されていない。




by otowelt | 2021-02-03 00:39 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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