COPDに対するトリプル吸入療法の適用判断は?
2021年 02月 11日
個人的にICS/LABAで治療を導入するCOPD患者さんは、かなり少数派です。
目的:
2剤併用療法と比較して3剤(トリプル)吸入療法はCOPDの症状を減らすことができるが、肺機能の回復や急性増悪(AE)のリスク低減についてのエビデンスは限られている。現時点では、2剤併用療法を継続しているCOPD患者の治療強化の必要性を評価するための複合エンドポイントに臨床的に重要な悪化(CID)をみた研究は少ない。
患者および方法:
これは2014年1月から2018年1月までの間、過去1年に中等症~重症の増悪を経験した末梢血好酸球数≧100/μLのCOPD患者を組み入れた後ろ向き研究である。ファーストライン治療には、ICS/LABAが含まれた。複合CIDは、24週間後の評価とした。
結果:
110人の患者が組み入れられ、49人がCIDを経験した。もっともよくみられたCIDは、ベースラインからの1秒量≧100mLの減少(49人中25人:51%)で、CATスコア2点以上の上昇(49人中13人:26.5%)がそれに続いた。ほとんどの患者はLAMAの追加により反応がみられた。7人(110人中7人:6.3%)がICS/LABA使用下で中等症~重症増悪を起こした。単変量解析および多変量解析において、ベースラインにおける1秒量の低さ(オッズ比0.81、p=0.004)、高CATスコア(オッズ比1.89、p=0.004)、AEの頻度(オッズ比19.86、p=0.021)はCIDの独立予測因子だった。適切なカットオフ値は、ベースライン%1秒量≦42%、CATスコア≧18点、過去2年のAE≧2回だった。
結論:
ICS/LABA/LAMAのトリプル吸入療法は、血中好酸球数≧100/μL、%1秒量≦42%、CATスコア≧18点のCOPD患者で、過去2回以上のCOPD-AE歴がある場合の初期治療として考慮されるべきかもしれない。
by otowelt
| 2021-02-11 00:07
| 気管支喘息・COPD