無症候性BMPR2変異キャリアのPAH発症リスク

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背景:
 遺伝性肺動脈性肺高血圧(PAH)は、一般的にはBMPR2遺伝子のヘテロ接合変異が最多である。専門家のコンセンサスに基づいて、ガイドラインでは無症候性のBMPR2変異キャリアにおける年次スクリーニングで心エコー検査を推奨している。 この研究の主目的は、無症候性のBMPR2変異キャリアの特徴を評価し、PAHの発生リスクを評価し、この高リスク集団の初期段階でPAHを検出することである。

方法:
 無症候性BMPR2変異キャリアは、ベースライン時および毎年の2年以上のスクリーニングを受けた(DELPHI-2試験)。年次スクリーニングには、臨床評価、心電図、肺機能検査、6分間歩行距離、心肺運動検査、胸部X線、心エコー検査、NTproBNP測定が含まれた。右心カテーテル検査(RHC)は、事前に規定された基準に基づいて行われた。

結果:
 55人の被験者(26人が男性、年齢中央値37歳)が登録された。ベースラインにおいて、PAHは心エコー検査やNTproBNP値では疑われなかった。全被験者はRHCを受け、2人が軽症PAH(3.6%)、12人が運動時PH(21.8%)ありと判断された。長期経過をみると、118.8人年において、3人がさらにPHと診断された(男性0.99%/年, 女性3.5%/年)。全PAH症例は、最後の追跡時に経口療法のリスクが低い状態のままだった。

結論:
 無症候性BMPR2変異キャリアは、PAH発症リスクが有意に高い。適切なスクリーニングプログラムのために、国際的な多施設共同研究が必要である。




by otowelt | 2021-01-19 00:59 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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