免疫チェックポイント阻害剤による間質性肺疾患

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OPパターンで致死的になることは多くないとはいえ、再発は多いです。


目的:
免疫チェックポイント阻害剤関連間質性肺疾患(ICI-ILD)は、深刻な免疫関連有害事象である。非小細胞肺癌(NSCLC)患者におけるICI-ILDの重症度と、画像パターンまたはILD後癌治療の影響を評価することを目的とした。

方法:
 2016年1月から2019年3月の間にICI-ILDを発症したNSCLC患者を後ろ向きに解析した。主な目的は、重症度または画像パターンによって層別化されたICI-ILD発症後の予後を報告することである。副次的な目的は、ICI-ILD後の癌治療内容である。

結果:
 ICIで治療された222人の患者のうち、27人(12.2%)がICI-ILDを発症した。ICI-ILDが致命的でない場合、重症度グレードに応じて予後に差異はみられなかった。画像診断でOPパターンまたはNSIPパターンがあった患者のほとんど(91.3%)がグレード1あるいは2で、DADパターンの全患者はグレード3以上を示し、1人はグレード1に達した。ICI-ILDが軽快した8人患者(30.8%)は、長期の疾患管理のために化学療法投与なしで追跡され、そのうち7人はICI-ILDの発症時OPパターンの患者であった。3人がICIのリチャレンジを受けたが、2人はICI-ILDが再発し、リチャレンジによって奏効した患者はいなかった。

結論:
 DADパターンは、ICI-ILDの短期的な予後不良を予測する可能性がある。ICI-ILDが軽快した場合、重症度グレードは予後と関連していなかった。ICIのリチャレンジには慎重になるべきである。






by otowelt | 2021-01-25 00:26 | 肺癌・その他腫瘍

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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