呼吸器症状が悪化したCOPD患者における肺血栓塞栓症の頻度

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 肺血栓塞栓症を疑えるかどうか、それが重要ですね。


背景:
 急激に悪化する呼吸器症状のあるCOPD患者における肺塞栓症の有病率は依然として不確実である。

目的:
 呼吸器症状が急激に悪化したために入院したCOPD患者の肺塞栓症の有病率を決定すること。

設計、設定、参加者:
 フランスの7病院で実施された前向き追跡を伴う多施設横断研究である。Genevaスコア、D-dimer値、胸部造影CT、下肢静脈エコー検査に基づく肺血栓塞栓症診断アルゴリズムが入院から48時間以内に適用された。全患者は3ヶ月の追跡を受けた。患者は2014年1月から2017年5月まで登録され、追跡最終日は2017年8月22日だった。

曝露:
 COPD患者の急性呼吸器症状悪化。

主要評価項目:
 プライマリアウトカムは、入院から48時間以内に診断された肺血栓塞栓症とした。セカンダリアウトカムは、入院時に静脈血栓塞栓症がなく抗凝固療法を受けなかった患者の3ヶ月追跡中の肺血栓塞栓症とされた。その他のアウトカムとして、入院時および追跡中の静脈血栓塞栓症(肺血栓塞栓症や深部静脈血栓症)、静脈血栓塞栓症の有無によらない3ヶ月時点での死亡率が設定された。

結果:
 740人の患者(平均年齢68.2±10.9歳; 274人が女性[37.0%])のうち、44人の患者(5.9%; 95%信頼区間4.5%-7.9%)で入院48時間以内に肺血栓塞栓症が同定された。入院時に静脈血栓塞栓症がなく抗凝固療法を受けなかった670人の患者のうち、肺塞栓症は追跡中に5人の患者(0.7%; 95%信頼区間0.3%-1.7%)で発生し、関連死亡が3人にみられた。3ヶ月の総死亡率は6.8%だった(740人中50人; 95%信頼区間5.2%-8.8%)。追跡中に死亡した患者の割合は、入院時に静脈血栓塞栓症のない患者よりも入院時に静脈血栓塞栓症のある患者のほうに多くみられた(リスク差20.7 %、95%信頼区間10.7%-33.8%; P <.001)。静脈血栓塞栓症の有病率は、肺塞栓症が疑われた患者では11.7%(95%信頼区間8.6%-15.9%)であり(299人)、疑われなかった患者では4.3%(95%信頼区間2.8%-6.6%)だった(441人)。

結論:
 呼吸器症状の急性悪化を伴って入院したCOPD患者の中で、事前に規定された診断アルゴリズムを使用した場合、5.9%の患者で肺血栓塞栓症が同定された。


by otowelt | 2021-02-15 00:38 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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