COVID-19:家族との面会の欠如がせん妄のリスク?
2021年 01月 15日
家族と面会することでせん妄リスクが低下するのですね。つらいところです。
これまでに、世界中で75万人のCOVID-19患者が人工呼吸器を要し、急性の脳機能障害(昏睡およびせん妄)のリスクが高くなっている。せん妄とそれに関連する後遺症を軽減する戦略を支援するため、COVID-19の重症患者におけるせん妄と昏睡(RASS≦-4あるいはGCS<8)の有病率、またせん妄のリスク因子を調査することを目的とした。
方法:
この多施設コホート研究には、14ヶ国・69の成人ICUが含まれた。2020年4月28日以前にSARS-CoV-2に感染しICUに入室した18歳以上のCOVID-19患者を登録した。致死的な患者またはICU入室から24時間以内に維持措置が取り下げられた患者、囚人、既存の精神疾患、神経変性疾患、先天性あるいは後天性脳損傷、肝性昏睡、薬物過剰摂取、自殺未遂、盲・聾の患者は除外された。社会背景、せん妄と昏睡の評価、21日間の管理戦略に関する電子カルテ記録から、匿名化されたデータを集めた。人工呼吸器の使用、ICU滞在期間、臨床状態に関する追加データが28日間収集された。プライマリアウトカムはせん妄と昏睡の有病率とし、翌日のせん妄の発症に関連するリスク因子を調査した。また、せん妄や昏睡のない生存期間の予測因子についても調査した。これらの結果は、多変量回帰を使用して調査された。
結果:
2020年1月20日~4月28日の間に、COVID-19の4530人の患者が69のICUに入院し、そのうち2088人の患者が研究コホートに含まれた。患者の年齢中央値は64歳(IQR 54-71)で、SAPS IIのスコア中央値は40.0(IQR30.0-53.0)だった。 2088人の患者のうち1397人(66.9%)がICU入室日に侵襲性人工呼管理を受け、1827人(87.5%)が入院中のどこかで同補助を受けた。人工呼吸器を使用している間の鎮静剤はよく用いらており、2088人の患者のうち1337人(64.0%)に中央値7.0日(IQR4.0-12.0)のベンゾジアゼピンが投与され、1481人(70.9%)は中央値7.0日(IQR4.0-11.0)のプロポフォールが投与された。人工呼吸管理中のRASS中央値は-4(IQR-5~-3)だった。
2088人の患者のうち1704人(81.6%)は中央値10.0日(IQR6.0-15.0)で昏睡状態にあり、1147人(54.9%)は中央値3.0日(IQR2.0-6.0)でせん妄状態にあった。機械的人工呼吸、拘束具の使用、ベンゾジアゼピン、オピオイド、昇圧剤、抗精神病薬はそれぞれ、翌日のせん妄のリスクの高さと関連していた(すべてp≦0.04)。直接またはバーチャルでの家族訪問は、せん妄のリスクの低減と関連していた(p <0.0001)。ベースラインで、高齢、SAPS IIスコア高値、男性、喫煙またはアルコール濫用、初日からの昇圧剤使用、初日からの侵襲性人工呼吸は、それぞれ独立して、生存期間の低さとせん妄・昏睡がないことと関連していた(すべてp < 0.01)。 2088人の患者のうち601人(28.8%)が入院28日以内に死亡し、それらの死亡のほとんどはICUで発生した。
結論:
急性の脳機能障害は、COVID-19の重症患者で極めて長期化した。ベンゾジアゼピンの使用と家族の面会がないことは、修正可能なせん妄のリスク因子として同定された。
by otowelt
| 2021-01-15 00:41
| 集中治療