当院のCOVID-19病棟の変遷

 日経メディカルオンラインの連載に「劇的ビフォーアフター:廃止病棟がCOVID-19病棟に!」(URL:https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/kurahara/202101/568540.html)という記事を掲載しました。少しだけ内容を変えて、当院のCOVID-19病棟の変遷について、ここでも紹介させていただこうと思います。

 当院は大阪府南部の呼吸器疾患を専門に診ている病院で、結核診療も担っています。2年前に新病棟ができてから、国立療養所時代の廃止病棟を取り壊し、あまった廃止病棟をスタッフ待機室に転用していました。何を隠そう、私のデスクは廃止病棟の病室にございます。廃病室・イズ・マイルーム。夜になると、幽霊が出るとか出ないとか。がくぶる。


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 2020年春先、大阪府から「COVID-19病床確保のため、廃止病棟を稼働させてほしい」と言われていたのが、まさに当院でした。当時、COVID-19を診療している病院は公表されていませんでしたので、内密というわけではないですが、静かに工事していたのを覚えています。突貫というほど杜撰なものではありませんでしたが、こりゃあCOVID-19患者の受け入れに竣工が間に合わないんじゃないかというくらい、とにかく廃墟でした。

 われわれ感染制御チーム(ICT)の仕事は、どの部屋をどう使うか、動線をどうするか、ゾーニングをどうするか、を考えることでした。こういった新興感染症を受け入れる想定ではない病棟の見取り図とにらめっこしながら、どこから先をレッドゾーンにするか、悩みました。

 この20床のCOVID-19病棟はうまく稼働しました。グリーンゾーンのナースステーションが狭いことが難点でしたが、オンラインでのリモート診察の設備まで整いました。PPEはギリギリ確保できる状態が続き、N95マスクは極力再利用しました。

 しかし、「秋冬に患者数が増え病床が逼迫するだろう」という大阪府の試算が出た際、国公立病院でコロナ病棟を増床する必要があるのでは・・・という雰囲気がにわかに漂ってきました。この増床案が浮上したのは、患者数がかなり落ち着いていた夏のことでした。「こんなに閑散としているのに、本当に45床も使うだろうか?」と思いながら、新病棟のゾーニングを思案していました。

 結果的に、大阪府のこの懸念は的中してしまいました。12月には大阪コロナ重症センターを稼働させ、軽症中等症病床も大幅に増床に踏み切りました。当院は、20床を45床まで増床させることとなりました。当然、負担が一番増えたのは、最前線で働いている看護師たちです。

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 そうこうしているうちに、第3波が襲来しました。大阪府の施策がなければ、今頃どうなっていたかと想像するだけでゾっとします。世間では「政府も病院も後手後手や!」などと批判されていますが、大阪府はむしろ先手先手で動いていましたし、夏の時点でこのシナリオが想定できていた点は、個人的に高く評価しています。 

 大阪府からの要請を受けて、そろそろ55床に増床する予定です。




by otowelt | 2021-01-16 00:00 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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