医療従事者はSARS-CoV-2ワクチンを受けるべきか?
2021年 01月 21日
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する核酸ワクチンが、早ければ2月下旬から国内医療従事者に向けて接種される見込みです。一般市民向けには今後クーポンが配布され、おそらく医療機関で接種されることになると思います(自治体から各病院に接種要請が始まりました)。
不安に思われている医療従事者も多いのですが、プロフェッショナルとして最低限のエビデンスを知っておくべきで、不安を煽りがちなマスメディアの情報に右往左往しないようにしたいところです。国をあげて全力で取り組もうとしているワクチンの施策に、最前線にいる医療従事者が真っ向から反対する構図を目にすることもありますが、見ていてなかなか悲しいものがあります。
もちろん自由意志での接種ですから(任意接種ではなく定期接種への移行を踏まえた臨時接種に位置づけられる)、とりあえず様子を見たいという立場を否定するつもりはありません。ただ、最近よく耳にするのが「若い医療従事者は軽症で済むから打たなくてよい」という論理です。もしそうだと、インフルエンザワクチンも当然打たないということになります。コロナはもちろん軽症で済むことが多いですが、家庭内クラスターや院内クラスターが出た際の社会的打撃が大きいため、そちらのほうに目を向ける必要があります。
もちろん自由意志での接種ですから(任意接種ではなく定期接種への移行を踏まえた臨時接種に位置づけられる)、とりあえず様子を見たいという立場を否定するつもりはありません。ただ、最近よく耳にするのが「若い医療従事者は軽症で済むから打たなくてよい」という論理です。もしそうだと、インフルエンザワクチンも当然打たないということになります。コロナはもちろん軽症で済むことが多いですが、家庭内クラスターや院内クラスターが出た際の社会的打撃が大きいため、そちらのほうに目を向ける必要があります。
接種優先度が高いのは医療従事者ですが、特にウイルス曝露機会が多い職種はお勧めしたいところです。ただし、国立国際医療研究センターの忽那賢志先生が以下の記事に書かれているように、無症候性感染(症状がないけど感染している状態)に関するエビデンスは不足しており、ワクチンを接種して防げるのは感染そのものではなく、症状が出ることを防げるだけで感染はしてしまうのではないかという懸念は残っています。
信頼できる情報源として、以下のウェブサイトをお勧めします。毎度のことながら、忽那先生のYahoo!ニュース記事は一般と医療従事者の双方に分かりやすい記事です。
■効果は? 安全性は? 新型コロナワクチンについて知っておきたいこと Q&Aで医師が解説(忽那賢志) - Y!ニュース URL: https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210120-00217893/
少し専門的になりますが、守屋章成先生が書かれた記事はとても勉強になります。ウェブサイト自体は、とあるメーリングリストやCareNetで公開されておられたため、基本的には広く知ってもらいたい記事だと理解して、シェアさせていただきます。重要な点は、「少なくとも,接種を受けた本人のメリットは明らかである」という点です。
■新型コロナワクチンまとめ(医療従事者向け)URL:http://akkie.mods.jp/2019-nCoV/新型コロナワクチンまとめ(医療従事者向け)
一般向けには、実際に接種されたアメリカの医師、安川康介先生のYouTube動画が分かりやすいと思います。医師以外の医療従事者には、分かりやすい動画かと思います。
■コロナワクチン受けたらコロナに感染しない?マスクは不要になる?
■コロナワクチン受けたらコロナに感染しない?マスクは不要になる?
私が懸念しているのは、ワクチンとの因果関係は不明であるものの、接種後の副反応(特に死亡例)が過大に報道された場合、国内での接種が滞ってしまう点です。接種が開始されていない2021年1月21日の時点でさえ、副反応をこぞって報道している傾向にあり、インフルエンザワクチンよりその絶対数が多いことから、さらなるワクチン忌避が台頭すると予想されます。
収束可能かどうかは、イスラエルなどのデータを待つしかありませんが、たとえワクチンに高い有効性があったとしても、COVID-19を完全にゼロにすることはできません。変異株についての情報もまだ不足しています。おそらく今後のウィズコロナは約束されているので、基本的な感染対策は続ける必要があります。
by otowelt
| 2021-01-21 00:13
| 感染症全般