CheckMate 743試験:悪性胸膜中皮腫に対するニボルマブ+イピリムマブ併用療法
2021年 01月 26日
背景:
悪性胸膜中皮腫(MPM)に対して承認された全身治療は、アウトカムが不良ではあるもののいくらかの生存期間延長効果がある化学療法レジメンに限られている。ニボルマブとイピリムマブの併用は、非小細胞肺癌を含む他の腫瘍で臨床的有益性を示している。このレジメンはMPMの全生存期間を改善すると仮定した。
方法:
非盲検ランダム化第3相試験(CheckMate 743)は、21ヶ国の103病院で実施された。適格基準は18歳以上のPS0-1である、未治療の切除不能MPM患者とされた。参加者はランダムに1:1の割合で、ニボルマブ(3mg/kg 2週間ごと)+イピリムマブ(1mg/kg 6週間ごと)を最長2年間、またはプラチナ+ペメトレキセド化学療法(ペメトレキセド[500mg/m2] +シスプラチン[75mg/m2]またはカルボプラチン[AUC5])3週間に1回・最大6コースのいずれかの群に割り付けられた。プライマリエンドポイントは、ランダム化された全患者のOSとし、安全性解析は試験薬が最低1回投与された患者を対象に実施された。
2016年11月29日から2018年4月28日までに、713人の患者が登録され、そのうち605人がニボルマブ+イピリムマブ群(303人)あるいは化学療法群(302人)に割り付けられた。605人のうち467人(77%)が男性で、年齢中央値は69歳だった(IQR 64-75歳)。事前に規定された中間解析により(追跡期間中央値29.7ヶ月[IQR 26.7-32.9ヶ月])、化学療法群と比較してニボルマブ+イピリムマブ群は有意にOSを延長した(OS中央値18.1ヶ月[95%信頼区間16.8-21.4ヶ月] vs 14.1ヶ月[95%信頼区間12.4-16.2ヶ月]、ハザード比0.74[96.6%信頼区間0.60-0.91], p=0.002)。2年OS率は併用群で41%(95%信頼区間35.1-46.5%)、化学療法群で27%(95%信頼区間21.9-32.4%)だった。グレード3-4の治療関連有害事象は、ニボルマブ+イピリムマブ群300人のうち91人(30%)、化学療法群284人のうち91人(32%)にみられた。治療関連死は、ニボルマブ+イピリムマブ群の3人(1%)にみられた(肺炎、脳炎、心不全)が、化学療法では1人<1%)だった(骨髄抑制)。
結論:
標準化学療法と比較して、切除不能MPMに対するニボルマブ+イピリムマブは有意にOSを延長した。
by otowelt
| 2021-01-26 00:31
| 肺癌・その他腫瘍