COVID-19:ICU入室患者における早期抗凝固療法は生命予後改善なし

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背景:
 過凝固は、COVID-19患者の主要な死因かもしれない。

目的:
 COVID-19の重症患者における静脈血栓塞栓症(VTE)と大出血の発生率を評価し、生存に対する早期抗凝固療法(エノキサパリン40 mgを1日1回皮下投与、または同等の未分画ヘパリン5000単位を1日2〜3回皮下投与など)の効果を調べること。

試験デザイン:
 COVID-19の重症成人患者3239人を対象とした多施設コホート研究で、集中治療室(ICU)入室後14日以内のVTEと大出血の発生率を評価した。ICU入室の初期2日間に抗凝固療法を受けたか・受けなかったかによって患者を層別化し、生存に対する早期抗凝固療法の効果を調べた。交絡因子を補正するため、逆確率重み付けを使用したCoxモデルが使用された。

場所:
 アメリカの67施設。

参加者:
 登録されたICUに入院したCOVID-19成人患者。

アウトカム:
 死亡までの期間、退院、または最終追跡日。

結果:
 登録された3239人の患者の年齢中央値は61歳(IQR 53-71歳)、2088人(64.5%)が男性だった。ほとんどの患者は未分画ヘパリン(62.6%)または低分子量ヘパリン(34.4%)を投与され、少数が直接トロンビン阻害剤および他の薬剤を投与されていた。
 204人(6.3%)がVTEを発症し、90人(2.8%)が大出血イベントを発症した。VTEの独立予測因子は、男性、ICU入室時のD-dimer高値だった。
 追跡期間中央値27日(IQR 15-35日)において、2809人のうち1066人(38.0%)が死亡した。プライマリ解析では、早期抗凝固療法を受けた患者の死亡リスクは、受けていない患者と同等だった(ハザード比1.12、95%信頼区間0.92-1.35)。
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(Kaplan-Meier曲線:文献から引用)

Limitation:
 観察研究であること。

結論:
 COVID-19の重症成人患者において、早期抗凝固療法はtarget trial emulationにおいて生存に影響しなかった。

※target trial emulation:複数の観察研究値をもとに介入試験を模倣する手法。





by otowelt | 2021-01-29 00:16 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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