IDSAガイドライン:COVID-19の治療およびマネジメント

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IDSAの推奨をまとめました。


■推奨1:
 入院COVID-19患者に対して、IDSAガイドラインパネルはヒドロキシクロロキンの使用を推奨しない。(Strong recommendation, Moderate certainty of evidence)

推奨2:
 入院COVID-19患者に対して、IDSAガイドラインパネルはヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンの併用を推奨しない。 (Strong recommendation, Low certainty of evidence)

推奨3:
 入院COVID-19患者に対して、IDSAガイドラインパネルはロピナビル/リトナビルの使用を推奨しない。 (Strong recommendation, Moderate certainty of evidence)

推奨4:
 入院COVID-19患者における重症者に対して、IDSAガイドラインパネルはデキサメタゾン非投与よりもデキサメタゾン投与を推奨する。(Strong recommendation, Moderate certainty of evidence)
 
※デキサメタゾンが利用できない場合は、デキサメタゾンの点滴静注あるいは経口6mg10日間と同等量の代替全身性ステロイドを用いることも可能である。デキサメタゾン6mg/日相当は、たとえばメチルプレドニゾロン32mg、プレドニゾン40mgがある。

推奨5
 入院COVID-19患者における重篤ではない重症者に対して、IDSAガイドラインパネルはデキサメタゾン非投与よりもデキサメタゾン投与を支持する。 (Conditional recommendation, Moderate certainty of evidence)

※重篤:人工呼吸器とECMOを要する患者。敗血症/敗血症性ショックに見られるような臓器機能障害が含まれる。COVID-19で一般的に報告されているのはARDSである。
※重症:酸素補給を受けている患者を含む、室内気でSpO2が94%以下の患者。
※非重症:室内気でSpO2が94%を超え、酸素補給を必要としない患者。

推奨6:
 入院COVID-19患者のうち酸素投与を要する低酸素血症がない非重症者に対して、IDSAガイドラインパネルは全身性ステロイドを使用しないよう支持する。(Conditional recommendation, Low certainty of evidence)

推奨7:
 入院COVID-19患者に対して、IDSAガイドラインパネルはトシリズマブをルーチンに使用しないよう支持する。 (Conditional recommendation, Low certainty of evidence)

推奨8:
 入院COVID-19患者に対して、IDSAガイドラインパネルは臨床試験の範疇でCOVID-19回復性血漿の投与を推奨する。 (Knowledge gap)

推奨9:
 入院COVID-19患者における重症者に対して、IDSAガイドラインパネルは抗ウイルス薬非投与よりレムデシビル投与を支持する。(Conditional recommendation, Moderate certainty of evidence)

※レムデシビルは、人工呼吸器あるいはECMOを要する患者よりも、酸素投与を要する重症COVID-19において最も有益とされている。

推奨10:
 人工呼吸器やECMOを要さないが酸素投与を要する入院COVID-19患者に対して、IDSAガイドラインパネルは10日間のレムデシビルより、5日間のレムデシビルを支持する。 (Conditional recommendation, Low certainty of evidence)

※人工呼吸器あるいはECMO装着者では10日間投与する。

推奨11:
 酸素投与を要さない室内気SpO2>94%の入院COVID-19患者に対して、IDSAガイドラインパネルはルーチンのレムデシビルを使用しないよう支持する。 (Conditional recommendation, Very low certainty of evidence)

推奨12:
 入院COVID-19の重症者に対して、IDSAガイドラインパネルは臨床試験外でCOVID-19治療目的としてのファモチジンを使用しないよう支持する。 (Conditional recommendation, very low certainty of evidence)

推奨13:
 入院COVID-19の重症者に対して、IDSAガイドラインパネルはバムラニビマブを使用しないよう推奨する。(Strong recommendation, Moderate certainty of evidence)

推奨14:
 COVID-19の外来患者において、IDSAガイドラインパネルはルーチンにバムラニビマブを使用しないよう支持する。 (Conditional recommendation, Very low certainty of evidence)

推奨15:
 COVID-19の外来患者において、IDSAガイドラインパネルはルーチンにカシリビマブ/イムデビマブを使用しないよう支持する。(Conditional recommendation, Very low certainty of evidence)

推奨16:
 禁忌のために全身性ステロイドが投与できない入院COVID-19の重症者に対して、IDSAガイドラインパネルはレムデシビル単独治療よりもレムデシビルとバリシチニブの併用療法を支持する。(Conditional recommendation, Low certainty of evidence)

※バリシチニブ4mg/日を14日間。

推奨17:
 入院COVID-19患者に対して、IDSAガイドラインパネルは臨床試験の範疇においてバリシチニブとレムデシビルと全身性ステロイドの併用治療を推奨する。(Knowledge gap)





by otowelt | 2021-02-04 15:33 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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