COVID-19:イスラエルにおけるSARS-CoV-2ワクチンの効果は?

フィナンシャルタイムズに興味深いニュースがありました。ワイツマン科学研究所のデータを引用しているものです。

Israel provides first signs of mass vaccination driving down virus cases (URL:https://www.ft.com/content/0cdc8563-1e6d-4089-bedb-b0f675c0d683

イスラエルは3度目のロックダウン中に国策でワクチンをバンバン接種しているため、新規SARS-CoV-2陽性例が減少した原因が、ワクチン接種によるものかロックダウンによるものか、はっきりしませんでした。

論文はPeer Reviewを受けていないものですが、Git Hubで公開されています(Corresponding AuthorのEran Segal先生がTwitterでアドレスを公開されています)。

今冬の新規感染例発生ピークを100%としたときの相対的減少を縦軸に取った場合、ワクチンを接種している年齢層(60歳以上:1回目接種率88.9%, 2回目接種率77.9%)と接種をすすめている年齢層(0-59歳:2回目接種率約20%)を比較すると、前回のロックダウンより明らかに患者が減っているというものです(新規感染例:46%減 vs 18%減)。
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イスラエルでワクチンを2回接種して1週間後以降に新規発生したのは、41万6900人中254人で、4人を除くほぼ全例が軽症です。一方、ワクチン非接種群では77万8000人中1万2944人がSARS-CoV-2に感染しました。2回接種による予防効果は91%と推定されます。

いささか恣意的なリリースのようにも見えますが、期待できるデータには違いないので続報を待ちたいと思います。




by otowelt | 2021-02-06 12:59 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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