BT10+研究:気管支サーモプラスティの効果は10年持続する
2021年 02月 19日

重症喘息患者が一生に一度受けるだけでも、喘息QOLが大きく変わるかもしれませんね。
背景:
気管支サーモプラスティは、コントロールされていない喘息に対する気管支鏡治療である。過去のランダム化臨床試験では、気管支サーモプラスティが喘息患者の重症増悪を軽減することが示されている。ただし、5年を超える長期的有効性と安全性は不明である。BT10+研究は、10年以上の追跡調査によって有効性と安全性を調査することを目的とした。
方法:
BT10+研究は、以前にAIR研究、RISA研究、AIR2研究に登録され、気管支サーモプラスティから10年以上の追跡調査を受けた参加者を対象とした国際的多施設共同研究である。 BT10+の10年間のアウトカム調査において、患者背景、QOL、肺機能、CT検査(AIR2研究の参加者のみ)、重症増悪、前年の受診データが収集された。プライマリ有効性エンドポイントは、気管支サーモプラスティ治療後1年目と5年目に重症増悪を示した参加者の割合と、その前の12ヶ月間に同増悪を示した参加者の割合を比較することによって、気管支サーモプラスティ効果がどの程度持続するかをみることである。プライマリ安全性エンドポイントは、BT10+参加者における受診時の肺容積測定高解像度CT検査によって確認された気管支拡張症または気管支狭窄として定義される処置後の臨床的有意な画像変化がないこととした(ただしこれはAIR2研究参加者のみ)。すべての分析は、ITTベースで行われた。
結果:
BT10+研究では、AIR研究、RISA研究、AIR2研究に登録された429人の参加者のうち192人(45%)が登録された。BT10+の参加者は、気管支サーモプラスティを受けた136人と56人のプラセボサーモプラスティあるいはコントロール参加者で構成された。18人(32%)のコントロール群は、以前の研究が終了した後に気管支サーモプラスティを追加で受けた。BT10+の参加者は、治療後10.8-15.6年間(中央値12.1年間)追跡された。
ベースライン特性は、BT10+研究に登録された参加者と登録されていない参加者で類似していた。気管支サーモプラスティで治療された参加者は、BT10+登録中の重症増悪に対する効果は、1年時および5年時と比較して同等に持続された。QOLと肺活量についても10年間持続していた。AIR2研究参加者の高解像度CT検査において、97人の参加者のうち13人(13%)が気管支拡張症を有していた。ベースラインで気管支拡張症がなかった89人の参加者のうち6人(7%)が治療後に気管支拡張症を発症した(5人は軽度、1人は中等度)。気管支サーモプラスティで治療された参加者、およびコントロール群の参加者のいずれも、ベースラインと比較するとBT10+調査時の重症増悪が減少していた。
結論:
この追跡調査により、気管支サーモプラスティの有効性が10年以上持続し、許容できる安全性プロファイルがあることが支持される。
by otowelt
| 2021-02-19 00:56
| 気管支喘息・COPD