COVID-19:後遺症としてのILDに対する全身性ステロイド治療の有効性

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 ILDが残っているCOVID-19に対して、退院後60日目あたりから果敢にもプレドニゾロンを投与するという研究。比較対照がないので、本当にステロイドが効いているのかどうかは不明です。10日間のデキサメタゾンを一律にオフするのが正しいのかどうか、議論の余地があります。当院では、画像パターン、陰影の残り具合、酸素化をみつつ総合的に判断していますが、漸減を選択することも多いです。


背景:
 SARS-CoV-2感染症から回復する自然経過は不明のままである。遷延する線維症は、同様のコロナウイルスから回復する患者にみられることがあり、これに対する治療は、疾患経過を早期に修正することができる可能性があり、不可逆的な障害を予防できるかもしれない。

目的:
 プレドニゾロンで治療したSARS-CoV-2感染後の遷延性炎症性間質性肺疾患(ILD)について調べること。

方法:
 SARS-CoV-2に感染した患者の肺炎の後遺症について評価した調査である。837人の患者が退院4週間後に電話で問診評価された。症状が遷延している患者は、6週間後に外来評価を受けた。検査は胸部レントゲン写真、6分間歩行試験、心エコー、心電図をおこない、6分間歩行試験で酸素飽和度が4%以上低下した患者は、同日に胸部CTの評価を受けた。MDDにおいて遷延性ILDありと診断された30人の患者が、ILDサービスでレビューされ治療された。治療はプレドニゾロン0.5mg/kg/日を最大用量として開始し、漸減をこころみた。主治医の裁量によってこれには幅があった。

結果:
 837人のうち、退院後4週間の時点で患者の325人(39%)が症状遷延を報告していた。電話問診により、6週時点で上記検査がおこなわれた。肺機能低下を伴う、OP優位のILDが35人(4.8%)にみられた。これらの患者の30人は退院後61±19日に、ステロイド治療を受けた(投与開始平均プレドニゾロン用量26.6mg/日)。その結果、治療後の拡散能の平均上昇率は31.6±27.64%で(p<0.001)、努力肺活量は9.6±13.01%( p=0.014)だった。また、症状および画像上も有意な改善が観察された。
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(ステロイド用量:文献より引用)

結論:
 SARS-CoV-2による肺炎に続発するILDに対する全身性ステロイドによる早期治療は忍容性が高く、迅速かつ有意な臨床的改善と関連していた。






by otowelt | 2021-02-08 21:38 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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