肺MAC症におけるPPFEは予後不良因子

肺MAC症におけるPPFEは予後不良因子_e0156318_00072772.png
PPFEのようなILDに対して、全身性ステロイドや免疫抑制剤が間質性肺疾患治療の主流に位置づけられていた時代がありましたが、肺MAC症や肺アスペルギルス症のような慢性感染症にとって邪魔な存在だったのかもしれません。しかし「PPFEパラドクス」というものがあって、PPFE患者では感染性の肉芽腫性病変があるほうが予後がよいとする報告もあります(Am J Surg Pathol . 2017 Dec;41(12):1683-1689)。現在は抗線維化薬が台頭し、ILDに対する全身性ステロイドや免疫抑制剤の処方は激減しましたが、それでもベースラインに線維化がある肺MAC症の患者さんは多いです。



概要:
■肺MAC症とPPFEの関連は過去に報告されており、間質性肺疾患の合併は予後不良と関連している。しかし、肺MAC症とPPFEの関連についての研究はない。この研究では、肺MAC症におけるPPFEの有病率、臨床的特徴、予後への影響を調査した。

■国立病院機構大阪刀根山医療センターにおいて、新たに肺MAC症と診断された224人の患者が後ろ向きにレビューされた。診断時に、胸部HRCT、喀痰検査、臨床的特徴が調べられた。PPFEと肺MAC症は、HRCTスコアを使用して半定量的に評価された。診断から3年以内における多剤併用抗菌薬治療を要する臨床的・放射線学的悪化、および5年以内の全死因死亡、に対するリスク因子がPPFEスコアに基づいて解析された。

■肺MAC症224人(年齢中央値68歳[IQR62–74歳])が登録された。平均BMIは19.3±2.6だった。64人(28.6%)に喫煙歴があった。菌種は、Mycobacterium aviumが139人(62.1%)、M. intracellulareが101人(45.1%)、共感染が16人(7.1%)だった。224人のうち、結節気管支拡張型が173人(77.2%)、線維空洞型が48人(21.4%)だった。103人の進行性肺MAC症の患者のうち、86人がリファンピシン+エタンブトール+クラリスロマイシンの治療レジメンを用いられていた。アミノグリコシドは43人に用いられていた。

■肺MAC症224人のうち59人(26.3%)でPPFEが観察された。高いPPFEスコアは、呼吸困難、倦怠感、BMI低値のリスク因子だった(p <0.05)。PPFEスコアは3年以内の臨床的・放射線学的悪化と相関していなかったが(p = 0.576)、高いPPFEスコア(補正オッズ比1.66、95%信頼区間1.06-2.60、p = 0.028)、BMI低値(補正オッズ比0.61、95%信頼区間0.39-0.94、p = 0.028)は、5年以内の死亡リスクを増加させた。

■PPFEは比較的一般的な合併症といえ、肺MAC症の独立予後不良因子である。この研究は、PPFEの存在が肺MAC症の治療開始に対する臨床指標となり得るかどうかを調査するための研究の必要性を強調するものである。


PPFEに限らず、肺MAC症+ILDは基本的に予後不良になります。空洞を形成しはじめるとやっかいなので、しっかりと治療を導入することが肝要です。



by otowelt | 2021-03-19 00:56 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優