RECOVERY試験:低酸素血症と全身性炎症がある患者へのトシリズマブ

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 プレプリントですが、トップジャーナルに掲載されると思われます。



背景:
 トシリズマブは、IL-6受容体に結合して炎症を軽減するモノクローナル抗体であり、関節リウマチの治療に一般的に使用されている。低酸素血症と全身性炎症の両方があるCOVID-19入院成人患者におけるトシリズマブの安全性と有効性を評価した。

方法:
 このランダム化オープンラベルプラットフォーム試験(RECOVERY試験)は、イギリスにおいてCOVID-19によって入院した患者の複数の可能な治療法を評価している。低酸素血症(室内気酸素飽和度<92%または酸素療法を要する)および全身性炎症(CRP≧75mg/ L)のある参加者は、通常標準治療群とランダム化比較された。体重に基づいて400mg~800mgのトシリズマブとその他治療を並行して受けた。患者の状態が改善しなかった場合は、12〜24時間後に2回目の投与を行うことを許可した。プライマリアウトカムは、ITT集団の28日間死亡率とした。

結果:
 2020年4月23日から2021年1月24日までの間に、4116人の成人がトシリズマブの評価に含まれ、そのうち562人(14%)が侵襲性人工呼吸管理を受けた。1686人(41%)が非侵襲的呼吸補助を受け、1868人(45%)が酸素以外の呼吸補助は受けなかった。CRPの中央値は143 [IQR 107-204] mg / Lで、3385人(82%)の患者が全身性ステロイドを投与されていた。
 トシリズマブに割り当てられた2022人のうち596人(29%)と通常ケアに割り当てられた2094人のうち694人(33%)が28日以内に死亡した(率比0.86; 95%信頼区間0.77-0.96; p = 0.007)。事前に指定されたサブグループで一貫した結果が観察された。特に、全身性ステロイドを投与された患者では、明らかな死亡率の改善がみられた。トシリズマブに割り当てられた患者は、28日以内に生存して退院する頻度が高かった(54% vs 47%;率比1.22; 95%信頼区間1.12-1.34; p <0.0001)。ベースラインで侵襲性人工呼吸を受けていない患者のうち、トシリズマブを割り当てられた患者は、侵襲性人工呼吸または死亡の複合エンドポイントに到達する頻度が低かった(33% vs 38%;リスク比0.85; 95%信頼区間0.78-0.93; p = 0.0005)。
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(トシリズマブに関する過去の臨床試験:文献より引用)

結論:
 低酸素症および全身性炎症を伴う入院中COVID-19患者において、トシリズマブは生存率およびその他の臨床転帰を改善した。これらは、呼吸補助の水準に関係なく観察され、全身性ステロイドに追加的利益をもたらす。


by otowelt | 2021-02-13 13:20 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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