COVID-19:Long COVID評価における胸部画像検査

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 いわゆるLong COVIDについてです。 


背景:
 COVID-19患者の中長期の後遺症に関するデータが不足しているため、この評価アプローチは確立されていない。市中肺炎においては、間隔をあけて胸部レントゲン写真を撮影することが推奨されている。しかしながら、COVID-19の肺炎においてその有用性は不明である。

方法:
 これは、前向きな単施設観察コホート研究である。重症のCOVID-19肺炎(入院期間≥48時間のうち、吸入酸素濃度≥40%あるいは救命救急からの入院)で入院した患者は、退院後4〜6週間で面談評価を受けた。プライマリアウトカムは、COVID-19肺炎のレントゲン写真上の軽快とした。セカンダリアウトカムには、臨床アウトカム、症状質問票、メンタルヘルススクリーニング、生理学的検査(4m歩行速度[4MGS]および1分間の座位立位試験[STS])が含まれた。

結果:
 119人の患者が2020年6月3日から2020年7月2日までの間に評価された(退院後中央値61日(IQR51-67)、平均58.7±14.4歳、BMI中央値30.0(IQR25.9-35.2)、62%が男性)。胸部レントゲン写真による浸潤影の軽快は87%にみられた。mMRCスケールは、44%でCOVID-19以前のベースラインを上回り、患者は持続的な倦怠感(68%)、睡眠障害(57%)、息切れ(32%)が報告された。心的外傷後ストレス障害(25%)、不安神経症(22%)、うつ病(18%)もみられた。4MGSは38%の症例で低下し、STS試験中の4%以上の酸素飽和度低下が35%の症例にみられた。胸部CT検査が56人におこなわれたが、75%が間質性あるいは気道病変を有していた。

結論:
 重症COVID-19肺炎の2ヶ月後、持続的症状、メンタルヘルスの悪影響、生理学的障害がよくみられた。フォローアップの胸部レントゲン撮影は、回復不十分を検知するためのマーカーとなる。COVID-19後遺症の早期認識とマネジメントのために、対面評価が推奨される。



by otowelt | 2021-03-06 00:02 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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