リアルワールドにおける免疫チェックポイント阻害剤による肺炎

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肺癌症例は昔ほどたくさん担当していませんが、院内でも免疫チェックポイント阻害剤(ICI)による肺炎を結構たくさん見かける気がします。基本的には全身性ステロイド治療を導入しますが、軽度の場合リチャレンジも可能という見解もあります。



概要:
■免疫チェックポイント阻害剤(ICI)は、進行非小細胞肺癌(NSCLC)の標準治療であり、小細胞肺癌(SCLC)での使用が拡大している。一般に従来の化学療法よりも忍容性は良好であるが、ICI関連肺炎(ICI-P)などの免疫関連有害事象は、ICI使用が制限される現象であり、有意な罹患をもたらす可能性がある毒性が十分に理解されていないままである。この後ろ向き症例対照研究において、ICI-Pのリスク因子を同定した。

■ノースカロライナ州の6センターでニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ+ニボルマブの併用療法を受けた肺癌患者の診療録がレビューされた(2004年1月〜2017年7月)。 ICI-P症例とコントロール患者の特徴を明らかにし、ロジスティック回帰を利用してICI-Pのリスク因子を評価した。

■主に、ニボルマブ(76.5%)またはペムブロリズマブ(22%)単剤を投与された315人の肺癌患者で構成された。ICI-Pの発生率は9.5%で、診断までの中央値は52.5日だった。ICI-P症例の大部分は重症度が高く、8人の患者(27%)がICI-P治療中に死亡した。ICI-Pの発症は、胸部CTにおける線維化の存在(補正オッズ比6.61; 95%信頼区間2.48-17.7)、閉塞性肺疾患の合併(補正オッズ比2.79; 95%信頼区間1.07-7.29)、ペムブロリズマブによる治療(補正オッズ比2.57、95%信頼区間1.08-6.11)と関連していた。

■リアルワールドのコホートでは、ICI-Pは過去に報告されたものより頻度が高く、予想外に高い死亡率を示した。ICI-Pのリスクは、いくつかの慢性呼吸器疾患と独立して関連しており、肺癌患者におけるICI-Pの発生率は高い。


報告によって頻度はさまざまですが、ICIによる肺炎は決して珍しい現象ではありません。発症してしまうと重症化することがあるため、早期に全身性ステロイド治療を導入することが重要です。




by otowelt | 2021-03-22 00:17 | 肺癌・その他腫瘍

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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