COVID-19:イスラエルのBNT162b2ワクチン有効性

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 イスラエルの情報です。かなり期待できそうですね。前回紹介したのは、医療従事者に関する報告でした。



背景:
 COVID-19に対する集団予防接種キャンペーンが世界的に開始するにつれ、コントロールされていない地域でも幅広く評価される必要がある。本研究は、イスラエル最大の医療機関からのデータを用いて、BNT162b2 mRNAワクチンの有効性を評価したものである。

方法:
 2020年12月20日~2021年2月1日までの期間に新たに予防接種を受けたすべての人について、人口動態的および臨床的特徴に従って1:1の比率で予防接種を受けていない対照群と比較された。研究結果には、SARS-CoV-2感染、症候性COVID-19、COVID-19関連の入院、重症例、死亡の記録が含まれた。Kaplan-Meier推定を用いて、各結果のワクチンの有効性は、1からリスク比を引いたものとして推定した。

結果:
 各研究グループに、59万6618人が含まれた。初回接種後14日~20日および2回目接種後7日以降における、推定ワクチン有効性は次のとおりだった。

■SARS-CoV-2感染:
 初回接種後14~20日:46%(95%CI40~51)
 2回目接種後7日以降:92%(95%CI88〜95)
■症候性COVID-19:
 初回接種後14~20日:57%(95%C50〜63)
 2回目接種後7日以降94%(95%CI87〜98)
■入院:
 初回接種後14~20日:74%(95%CI56~86)
 2回目接種後7日以降87%(95%CI55~100)
■重症化:
 初回接種後14~20日:62%(95%CI39〜80)
 2回目接種後7日以降92%(95%CI75〜100)
■死亡:
 初回接種後14~20日72% (95%CI19~100)
 2回目接種後7日以降:NA

 
 
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(各アウトカム:文献より引用)

 COVID-19による死亡を予防する効果推定値は、初回投与後14~20日で72%(95%信頼区間19~100)だった。感染症および症候性COVID-19について評価された特定のサブグループにおける推定有効性は、年齢ごとに一貫しており、複数の併存症がある場合にわずかに低かった。

2回目接種後7日以降の有効性
■SARS-CoV-2感染
・男性:91% (95%CI80~96)
・女性:93%(95%CI88~97)
・16~39歳:94%(95%CI87~97)
・40~69歳:90%(95%CI82~95)
・70歳以上:95%(95%CI87~100)
・基礎疾患1~2:95%(95%CI88~98)
・基礎疾患3以上:86%(95%CI72~95)
・肥満例:95%(95%CI88~100)
・2型糖尿病:91%(95%CI71~100)
・高血圧症:93%(95%CI85~99)

■有症状COVID-19への有効性
・男性:88% (95%CI71~98)
・女性:96%(95%CI90~100)
・16~39歳:99%(95%CI96~100)
・40~69歳:90%(95%CI75~98)
・70歳以上:98%(95%CI90~100)
・基礎疾患1~2:95%(95%CI88~100)
・基礎疾患3以上:89%(95%CI68~98)
・肥満例:98%(95%CI91~100)
・2型糖尿病:91%(95%CI68~100)
・高血圧症:95%(95%CI84~100)

 
 
結論:
 全国的な集団ワクチン接種における当該研究は、BNT162b2 mRNAワクチンがCOVID-19の広範囲のアウトカムに有効であることを示唆しており、ランダム化試験の結果と一致している。





by otowelt | 2021-02-25 09:40 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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