ANCA関連血管炎における胸膜炎・心膜炎

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 お恥ずかしながら、そんなにAAVで貯留に困ったケースは経験がないですね・・・。


背景:
 胸膜および心膜の病変は、多発血管炎性好酸球性肉芽腫症(EGPA)でよく認識されているが、他のANCA関連血管炎(AAV)のまれな症状でもある。

リサーチクエスチョン:
 AAVにおける胸膜炎と心膜炎の頻度と臨床的特徴は何か?

研究デザイン・方法:
 1,830人のAAV患者データベースを使用して、胸膜炎と心膜炎に関連するキーワードについて臨床記録と診断コードを分析した。これらの調査結果を確認するためのチャートレビューがおこなわれた。

結果:
 GPAの患者1058人中88人(8.3%)、MPAの患者267人中27人(10.1%)、EGPAの患者201人中35人(17.4%)において、血管炎に起因する胸膜炎・心膜炎の所見がみられた。GPA、MPA、EGPAで胸膜炎の頻度には差がなかった。
 他のAAVと比較して、EGPAでは心膜炎の頻度が高かった(p <0.0001)。
 胸水の解析がフルでおこなえたのは31人で77.4%が滲出性で、リンパ球優位が41.7%、単球・マクロファージ優位が41.7%だった。治療後、92.4%が胸膜炎・心膜炎の再発を起こさなかった。

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(AAVにおける心膜炎・胸膜炎:文献より引用)
 
結論:
 胸膜炎と心膜炎はすべてのAAVで発生するが、EGPAは心膜炎の割合が高い。胸膜炎と心膜炎は、AAVの認識されにくい特徴である。




by otowelt | 2021-03-03 09:31 | 膠原病

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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