COVID-19:軽症患者に対するイベルメクチンは有効でない
2021年 03月 07日

イベルメクチン、国内では「奇跡の薬」だと祭り上げている人がいらっしゃいますが、現時点では臨床的に「奇跡的に」有効とは言えないようです。臨床的に意義のある改善とは言えないという意味で、無効とは書いていません。重症化予防や高齢者層に希望があるのではないかと問われるとそうなのかもしれませんが、どの薬剤でも切り口を選べば同じことが言えるわけで。イベルメクチンが本当に効くならそのほうがいいですし、当ブログではトシリズマブなどついても相反する論文を紹介してきていますから、改めて中立の立場であることを明言しておきます。タイトル通り「軽症患者に対するイベルメクチンは有効でない」という論文がJAMAに掲載された、それ以上でもそれ以下でもありません。(2021年3月7日午後15時追記)
背景:
イベルメクチンは、臨床的利益が不確実性であるにもかかわらず、COVID-19の潜在的な治療法として広く処方されている。
目的:
イベルメクチンが軽症COVID-19の有効な治療法であるかどうかを判断すること。
方法:
コロンビアの単一施設で実施された二重盲検ランダム化試験。2020年7月15日から11月30日までの間に7日以内(在宅または入院中)の軽症および有症状の476人の成人COVID-19患者が登録され、2020年12月21日まで追跡調査された。無症状の患者や、重症肺炎の患者は除外された。
介入:
患者は、イベルメクチン300μg/kg体重/日(1回投与量1.5倍)を5日間(n = 200)またはプラセボ(n = 200)投与するようランダム化された。
主要アウトカム:
21日間の追跡期間内に症状が解決するまでの時間とした。要請された有害事象および重篤な有害事象も収集された。
結果:
一次分析集団(年齢中央値37歳[IQR29-48]; 231人が女性[58%])でランダム化された400人の患者のうち、398人(99.5%)が試験を完了した。イベルメクチン群が200人、プラセボ群が198人となった。
症状改善までの時間の中央値は、イベルメクチン群で10日(IQR9-13)であったのに対し、プラセボ群では12日(IQR9-13)だった(症状解消のハザード比1.07 [95%信頼区間0.87〜1.32];P = 0.53)。21日目までに、イベルメクチン群の82%とプラセボ群の79%の症状が改善した。よくみられた有害事象は頭痛で、イベルメクチンを投与された104人の患者(52%)とプラセボを投与された111人(56%で報告されました。最も一般的な重篤な有害事象は多臓器不全で、4人の患者(各グループに2人)で発生した。
(症状改善の累積割合:文献より引用)

結論:
軽症COVID-19の成人患者において、5日間のイベルメクチンはプラセボと比較して、臨床症状の改善をもらさなかった。調査結果は、軽度のCOVID-19治療のためのイベルメクチン使用を支持しないが、他の臨床的課題に対するイベルメクチンの効果を調べるために、より大規模な試験が必要になるかもしれない。
by otowelt
| 2021-03-07 00:10
| 感染症全般