
目的:
COVID-19のARDSにおける気胸/縦隔気腫の発生率、予測因子、アウトカムを同定すること。
デザイン:
観察研究。
場所:
三次医療の大学病院。
参加者:
COVID-19 ARDSで侵襲的換気を受けた連続患者116人。
介入:
臨床背景、人工呼吸、画像検査、血液検査、アウトカムのデータを収集した。プライマリアウトカムは気胸/縦隔気腫の発生率とした。多変量ロジスティック回帰分析により、気胸/縦隔気腫の予測因子を調べた。
結果:
116人のうち、気胸/縦隔気腫を発症したのは28人(24.1%)だった。気胸が22人(19.0%)で、縦隔気腫は13人(11.2%)にみられた。気胸/縦隔気腫の発症までの平均期間は、挿管から14±11日だった。気胸/縦隔気腫を発症した患者と発症しなかった患者の間に、人工呼吸パラメータに差は観察されなかった。いずれも、肺保護換気戦略がとられていた。気胸/縦隔気腫患者の95%は、ベースラインのCT検査でMacklin効果(気管支血管鞘から線状に肺門部に続く空気)を示し、ICU入室時の肺病変が多い傾向にあった。症状発症から挿管までの期間は気胸/縦隔気腫の独立予測因子だった。死亡率は、気胸/縦隔気腫を発症した患者では60.7%だったが、発症しなかった患者では38.6%だった(p = 0.04)。
結論:
気胸/縦隔気腫は、機械的人工呼吸管理を要するARDSのCOVID-19患者で頻繁に発生し、死亡率の増加と関連している。気胸/縦隔気腫の発症は、肺保護換気戦略をとっていても発生している。