
6分間歩行試験の実際は以下のようにおこないます。
(1)30mの平坦な直線をできるだけ速く歩き、往復してもらい、6分間の歩行距離を(在宅酸素療法の適応の評価などを行う場合はSpO2も)測定する。
(2)適切な声掛け※によって、一定負荷となるよう心掛ける。
(3)歩行前後でBorgスケールを用いて疲労度を評価する。
(4)休憩が必要なときは壁にもたれ掛かって休んでもらう。中断したときは、その理由、時間、距離を記録する。
※声掛けの例
1分後:「うまく歩けています。残り時間はあと5分です」
2分後:「その調子を維持してください。残り時間はあと4分です」
3分後:「うまく歩けています。半分が終了しました」
4分後:「その調子を維持してください。残り時間はもうあと2分です」
5分後:「うまく歩けています。残り時間はもうあと1分です」
残り15秒:「もうすぐ止まってくださいと言います。私がそう言ったらすぐに立ち止まってください」
6分後:「止まってください」
概要:
■6分間歩行試験(6MWT)は、喘息患者における呼吸リハビリテーションにおいて可逆的に反応する生理学的検査である。臨床的に意義のある最小差(MCID)についてはまだ定まった見解がない。
【一口メモ】MCID
Minimal Clinically Important Differenceの略。臨床的に意味のある最小変化量のこと。
■呼吸リハビリテーション前後の6MWTについて、歩行距離およびmMRCスコアをもとにROC曲線を用いて評価した。SGRQスコアおよびCATスコアについても評価した。
■142人の喘息患者のうち37人が登録された。呼吸リハビリテーションの後、6分間歩行距離は453.4±88.8mから493.0±97.2mにまで上昇した(p=0.0001)。その他のアウトカムも改善がみられた。6MWTとSGRQスコア、CATスコア、mMRCにはそれぞれわずかな相関がみられた。MCIDは26~27mと推測された。
なお、6分間歩行試験は基本的に在宅酸素療法の導入を検討している患者に対して算定されるものであり、喘息のコントロール指標として行うことは保険診療上妥当とは言えません。1年あたりの上限算定は4回までです。