気管支鏡検査時の鎮静薬:デクスメデトミジン vs プロポフォール
2021年 04月 01日
気管支鏡検査をするには、デクスメデトミジンは投与量の調整が難しいかなと思います。あーだーこーだと調整している間に検査が終わりそうな気もします・・・。ただ、EBUS-TBNAはそれなりに太い径のカメラを挿入するので、深い鎮静をかけないとしんどいです。個人的にはデクスメデトミジンを使うくらいなら、プロポフォールでお願いしたいところです。
―――しかしまぁ、・・・ネックになるのは薬価なのでしょうね。
なお、デクスメデトミジンは、添付文書上「局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静」に対して保険適用されますので、気管支鏡時に用いること自体は何ら問題ありません。
- 概要:
■適切な鎮静は、EBUS-TBNAの成功に重要である。デクスメデトミジンは、α2アドレナリン受容体刺激作用を介する鎮静剤であり、呼吸抑制がほとんどない、睡眠に似た鎮静作用をもたらす。この研究では、EBUS-TBNAにおけるデクスメデトミジンによる鎮静とプロポフォールによる鎮静の有効性と安全性を比較した。
■EBUS-TBNAを必要とする患者が、デクスメデトミジン鎮静(n = 25)またはプロポフォール鎮静(n = 25)のいずれかにランダムに割り付けられた。バイタルサイン、診断率、バイスペクトラルインデックス(BIS)は、気管支鏡検査とその後の鎮静回復期を通して記録された。患者の忍容性と協力は、質問票を使用して評価された。
■デクスメデトミジン群の最低平均動脈圧(79.2±9.9mmHg vs 72.5±12.9mmHg、p = 0.049)はプロポフォール群よりも高く、最低平均心拍数は低かった(60.9±10.2/分 vs 71.4±11.8/分、p = 0.006)。また、デクスメデトミジン群の鎮静中平均BISは有意に高かった(84.1±8.3 vs 73.6±5.7、p <0.001)。デクスメデトミジン群の患者は、プロポフォール群よりも検査中の見聞きを記憶している頻度が高く、再度気管支鏡を受けたくないと表明する頻度も高かった(83.3% vs 41.1%、p = 0.007)。デクスメデトミジン群の1人の被験者は、検査に耐えられず、EBUS-TBNAを中止した。低酸素症イベントの割合、回復時間、患者の協力、診断率などは両群同等だった。
■血行動態に対するデクスメデトミジンの効果は、その薬力学的特徴と一致していた。デクスメデトミジンを投与された患者は、プロポフォールを投与された患者よりも処置中ある程度覚醒しており見聞きする頻度が高かった。患者協力や診断率の観点ではプロポフォールに劣るという結果は示されなかった。
デクスメデトミジン投与は、呼吸抑制のリスクが低下し、口腔内分泌物も減少し、不穏を招かないことが利点ではあります。ただ、薬価が高いので、気管支鏡をやるだけなのにそこまで投与しなくても・・・という意見はあるでしょう。
by otowelt
| 2021-04-01 00:55
| 気管支鏡