
テレリハビリテーションの利点は、遠隔地にいる場合や感染症リスクが高い場合に3密を避けてリハビリが提供できることです。欠点は、導入コスト(動画・通信)が高くリハビリスタッフとのコミュニケーションがうまくいきにくいことが挙げられます。やはり、対面でリハビリをうけてなんぼという世界でもあります。
- 概要:
■COVID-19によって、肺機能の低下、運動耐容能の低下、QOLの低下が観察されることは言うまでもない。COVID-19に対する呼吸リハビリテーションを軽症/中等症患者および重症/重篤患者に適用された。適応となったのは以下の患者。
a:急性期相を過ぎた、軽症~重篤のCOVID-19患者
b:呼吸リハビリテーションに関する同意が得られたもの
※歩行障害がある患者は除外された
■軽症~重篤でCOVID-19で入院した患者の急性期後に対する包括的3週間呼吸リハビリテーション(前向き観察コホート研究)。運動耐容能(6分間歩行距離)、肺機能(努力性肺活量)、QOL(SF-36)が呼吸リハビリテーション前後に評価された。
■50人の患者が登録された(軽症/中等症が24人、重症/重篤が26人)。入院時、患者の6MWDは減少していた(軽症/中等症:509m[426-539m]、重症/重篤:344m[244-392m])。また努力性肺活量が減少していた(軽症/中等症:80%[59-91%]、重症/重篤:75%[60-91%])。SF-36は精神健康スコアが低かった(軽症/中等症:49点[37-54点]、重症/重篤:39点[30-53点])。
図. 患者背景(文献より改変引用)

■退院時、いずれのサブグループも6MWDが改善した(軽症/中等症:+48m[35-113m]、重症/重篤:+124m[75-145m]、p<0.001)。また努力性肺活量(軽症/中等症:+7.7%[1.0-17.8%]、重症/重篤:+11.3%[1.0-16.9%]、p<0.001)、SF-36(軽症/中等症:+5.6点[1.4-9.2点]、重症/重篤:+14.4%[-0.6-24.5%]、P<0.001)も改善した。有害事象は報告されなかった。
図. 6MWDと努力性肺活量(文献より改変引用)

以上のことから、COVID-19の治療が終わり、Long COVIDを予防する意味合いでも呼吸リハビリテーションを適用したほうがよいと考えられます。しかし、日本のコロナ病棟ではなかなかリハビリ実施がすすまず、ヤキモキしている病院も多いのではないでしょうか。なお、この呼吸リハビリテーションによっても、呼吸困難や倦怠感は少し減ったに過ぎないという結果だったので、過度な期待は禁物です。