RELIEF試験:PF-ILDに対するピルフェニドン

先日、日経メディカルオンラインで以下の記事を書かせていただきました。


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. PF-ILDの概念図

PF-ILDにはいろいろな疾患が含まれていますが、重要なポイントは、(1)PF-ILDは努力性肺活量(FVC)・線維化・呼吸器症状が経時的に悪化する、(2)特発性肺線維症(IPF)はPF-ILDの一部である──、という点です

現状エビデンスがあるのはニンテダニブのみという状況ですが、ピルフェニドンについても幾ばくの効果はありそうです。ただ、いずれの薬剤も、実臨床でそこまでインパクトがあるかと問われると、ちょっと他の呼吸器疾患と比較して弱めの印象ではあります。



■ピルフェニドンは、特発性肺線維症(IPF)患者の疾患進行を遅らせることが示されている。ただし、IPF以外の進行性線維性間質性肺疾患(PD-ILD)の治療選択肢はほとんどないのが現状である。IPFと他のPF-ILDとの病理機序的および臨床的類似性を考慮し、4つの非IPF PF-ILD患者におけるピルフェニドンの有効性と安全性を評価することを目的とした。

■ドイツのILD専門施設17センターにおいて、多施設共同二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験(第2b相試験:RELIEF試験)を実施た。

■膠原病関連ILD、線維性NSIP、CHP、石綿関連ILDの4疾患によるPF-ILD患者(18~80歳)が含まれた。その他の適格基準として、予測%FVCが40〜90%、予測%DLCOが10〜90%、通常治療にもかかわらず少なくとも予測%FVCの年間低下率が5%以上あることが含まれた。なお、以前に抗線維化療法を受けたことがある患者は除外された。

■患者は、1:1の割合で経口ピルフェニドン(第1週に267 mg1日3回、第2週に534 mg1日3回、その後801 mg1日3回)または対応するプラセボにランダムに割りつけられた。患者、研究者、統計学者、CRCに対しても治療内容は盲検化された。治療期間は48週間である。

■主要評価項目は、ITT集団におけるベースラインから48週までの予測%FVC絶対変化とした。安全性は、治験薬を少なくとも1回投与されたすべての患者で評価された。

■2016年4月5日~2018年10月4日の間に、127人の患者がランダムに割りつけられた。64人がピルフェニドン群、63人がプラセボ群だった。登録遅延および中間解析結果に基づいて、研究は早期終了となった。48週間の治療により、プラセボ群と比較してピルフェニドン群で予測%FVCは有意に低下率が低かった(p= 0.043)。診断によって層別化されても、結果は同様だった(p=0.42)。主要評価項目の分析にLOCFと複数の代入法を適用した場合にも、有意な治療効果が観察された。

一口メモ:LOCF(Last Observation Carried Forward)
脱落前に得られた最後の観測値を,最終時点を含む脱落後の時点の値として用いるもの。PF-ILDの進行を遅らせることが薬剤の評価項目である場合、評価項目のベースライン自体が患者の最良値となるため、疾患が進行するほどベースラインからの変化量が大きくなる。LOCFを適用すれば、早期脱落患者ほど変化量は小さく評価されてバイアスをもってしまいます。逆に、実薬群で副作用のために早期脱落患者が多かった場合、LOCFによって実薬群の変化量は小さくなるため、実薬に有利なバイアスがはたらく。

■主要評価項目のピルフェニドン群とプラセボ群の差は、中央値で1.69%(95%信頼区間–0.65〜4.03)だった。予測される線形混合モデル反復測定勾配分析では、ベースラインから48週までの治療群とプラセボ群の推定差は代入法適用で3.53%(95%信頼区間0.21~6.86)、非適用で2.79%(95%信頼区間0.03-5.54%)だった。

■ピルフェニドン群(2%)で1人の死亡(非呼吸器系)が発生し、プラセボ群(8%)で5人の死亡(うち3人は呼吸器系)が発生した。最も頻繁な重篤な有害事象は、感染症だった(ピルフェニドン群で5人 [8%]、プラセボ群で10人[16%])。ピルフェニドン群でGrade3-の下痢が1人に発生した。



国際的なPF-ILDのコンセンサスは、以下のようになっています。測定誤差の大きな検査に基づいていますので、そこまで厳密に縛らなくてもよいとは感じています。

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(参考文献)
1) Flaherty KR, et al. Nintedanib in Progressive Fibrosing Interstitial Lung Diseases N Engl J Med . 2019 Oct 31;381(18):1718-1727.
2) George PM, et al. Progressive fibrosing interstitial lung disease: clinical uncertainties, consensus recommendations, and research priorities. Lancet Respir Med . 2020 Sep;8(9):925-934.






by otowelt | 2021-05-07 00:56 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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