4月13日に、大阪府の1日新規陽性者数が1099人になりました。10進法で語るのは好きではありませんが、とりあえず4ケタは初めての事態です。
基礎疾患がそこまでひどくないのに、両側肺炎を発症しているケースが多いです。高齢者クラスターはほとんどおらず、典型例は「家族内クラスターが発生し、子供を残して親が入院してくるパターン」です。直近で発生している重症者も、高齢者に偏っていません(表1)。第1~3波の平均年齢は68歳でしたが、第4波(2021年3月以降)の新規感染者の平均年齢は56歳と明らかに年齢層が低下しています。
片肺が残っておればそれほど酸素飽和度は低下しませんが、両肺に肺炎を起こすと、換気できるスペースが少ないため容易にARDSに陥ります。中には「いきなりARDS」のようなケースもしばしば見受けられ、抗MDA5抗体陽性の急速進行性ILDをひたすら診療し続けているような錯覚に陥ります。N501Y変異の拡がりを見ているのかどうか断言しませんが、少なくともこれまでの波とは異なる重症度です。
重症病床使用率は、運用・実稼働ベースなど異なる基準でみても、どう足掻いても既に90%以上に到達しています。先日の記事(何かが違う、⼤阪コロナ第4波[URL:https://pulmonary.exblog.jp/29478283/])でも書いたように、挿管・人工呼吸管理をおこなっても、重症病床への転院が難しい患者さんが府内に20人いる状況なので、軽症中等症病床で診続けることが今後常態化すると予想されます。
コロナ禍に入り、当ブログでは何度も書いていますが、一番しんどいのは直接ケアにあたる、看護師です。感謝しかありません。