GOLDグループごとのCOPDにおける治療実態

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「国際的にぶっちゃけCOPDってどう治療されているんですか!」という疑問がプライマリ・ケアで勃発するのですが、「オレの吸入薬処方」みたいな我流の吸入治療がはびこっているのがCOPDの世界。

個人的には基軸はLAMAあるいはLAMA/LABAだと思っていて、ここにICSを加えるかどうかです。ICSを加えるメリットは、特に好酸球性フェノタイプや喘息合併例の場合に増悪率が軽減できること、トラフ1秒量がほんの少し上昇すること、です。ICSを加えるデメリットは、軽度の肺炎リスク上昇があること、COPDに保険適用されるトリプル吸入製剤が2剤しかないこと、です。

日本のガイドラインもそろそろGOLDに準じて、グループA~Dの基準を採用してほしいのですが、まだでしょうか。GOLD2021のグループABCDに治療法を加えた独自の表はこんな感じです。毎年改訂している「ポケット呼吸器診療」にはこれを掲載するように心がけています。
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■スウェーデンのガイドラインは、国際的なGOLDガイドラインに基づいてCOPD治療が行われるよう推奨されている。

■Swedish National Airway Register (SNAR)コホートを用いて、COPDの薬物治療ガイドラインについての遵守を調べた。

■COPD患者15595人(プライマリ・ケアで853施設、セカンダリ・ケアで125施設)において、18ヶ月の間、症状(CAT, mMRCスケール)、肺機能、増悪歴、薬物治療の情報がSNARに提供された。喘息合併例については本研究では除外した。

■薬物治療を受けていない群、短時間作用性気管支拡張薬単独群、長時間作用性気管支拡張薬単独群、吸入ステロイド単独群、またはこれら吸入薬の併用について治療群を分類した。

■患者全体では、GOLDグループAが29%、グループBが58%、グループCが2%、グループDが11%だった。CATスコア10点以上だがmMCRスケールが2点未満の患者が30.9%、mMRCスケール2点以上だがCATスコア10点未満の患者が4.2%いた。

■61.4%の患者では、過去1年に増悪歴は記録されていなかった。

■長時間作用性気管支拡張薬は78%の患者に、ICSは46%の患者に処方されていた。吸入治療を受けていなかったのは、グループAの21%、グループBの11%、グループCの11%、グループDの5%で、長時間作用性気管支拡張薬を受けていたのは、グループAの67%、グループBの81%、グループCの81%、グループDの90%で、ICSを含めた治療を受けていたのはグループAの33%、グループBの46%、グループCの55%、グループDの71%で、トリプル吸入療法を受けていたのはグループAの19%、グループBの34%、グループCの39%、グループDの61%だった。


全体として吸入治療を受けていない人が少ないので、好ましい傾向だと思います。ただ、グループAでもトリプル吸入療法を受けているのが5人に1人いるというのは、いささか過剰使用ではないかと思われます。グループDではトリプルが入りまくっている国もありますが、ICSウィズドローがしっかりできていると、このくらいの数値になるのが現実的なところでしょうか。




by otowelt | 2021-05-28 01:30 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優