コロナ禍における気管支鏡検査

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気管支鏡前にSARS-CoV-2 PCRスクリーニングをおこなっている病院も増えてきたと思いますが、そこに臨床的安心感はほとんどなく、結局慎重にPPEを適用して処置を行わざるを得ないのが現状です(Expert Rev Respir Med . 2021 Apr 12;1-7.)。

陰圧が不可能な部屋では、挿管時に一時流行したエアロゾルボックスを用いておこなっている施設もあるようです(J Surg Oncol . 2021 Mar 2;10.1002/jso.26431.)。

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写真. (エアロゾルボックスを用いた気管支鏡検査[J Surg Oncol . 2021 Mar 2;10.1002/jso.26431.])




  • 概要
■医療従事者を保護する上でのCOVID-19検査対策の有用性を評価することを目的とした。

■2020年3月から2021年2月の間に実施されたすべての外来気管支鏡検査を後ろ向きに同定しました。カルテから、背景データ、診断名、処置前後30日間でCOVID-19の診断を受けたかどうか、またその結果を抽出した。気管支鏡検査に従事するスタッフは、オンライン症状質問票で毎週スクリーニングされ、COVID-19の症状は所見がないかどうか調べられた。

■研究期間中に計1189回の気管支鏡検査が実施された。入院患者(n=525人)に対して実施された気管支鏡検査は、これら全患者が入院中にSARS-CoV-2 PCRを確認されているため、除外された。差し引き、外来気管支鏡検査を受けた計664人の患者が最終分析に含まれた。

■患者のうち、50.9%が男性で、83.5%が白人だった。平均年齢61±12.9歳だった。クライオバイオプシーをおこなうための硬性気管支鏡検査4例以外の全手順において、フェンタニルおよびミダゾラムを使用した。

■処置前30日以内のSARS-CoV-2 PCRを受けた患者は172人(25.9%)、処置後30日以内は114人(17.2%)だった。このうち、処置後30日以内に1人のCOVID-19患者が同定された。

■研究期間中、気管支鏡検査室の関係スタッフにおけるCOVID-19はゼロだった。4人の気管支鏡検査スタッフが、研究期間中に別々の事情によって鼻咽頭PCR検査を受けたが、いずれも陰性であった。

■無症候性の患者に対する処置前COVID-19検査は、必ずしも医療従事者の感染率を低下させるわけではない。



入院前および外科術前も含め、処置前のSARS-CoV-2 PCRスクリーニングは、その時に感染していないことは分かりますが、それが病院全体・地域全体にとって利益があるのかどうか、まだエビデンスはないと理解しています。また、この研究はサンプルサイズがlimitationになる。






by otowelt | 2021-06-21 00:19 | 気管支鏡

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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