難治性慢性咳嗽に対する選択的P2X3受容体拮抗薬エリアピキサント
2021年 06月 05日
今年、慢性咳嗽の世界に大ニュースが飛び込んできました。
「MSDは3月2日、難治性または原因不明の慢性咳嗽治療薬ゲーファピキサントクエン酸塩を日本で承認申請したと発表した。同剤は経口投与の選択的P2X3受容体拮抗薬。P2X3受容体は気道の迷走神経のC線維上に発現しているアデノシン三リン酸(ATP)受容体で、ATPは気道の炎症条件下で気道粘膜細胞から放出される。細胞外ATPが気道のC線維上のP2X3受容体と結合することで、損傷の可能性を示すシグナルとして感知され、咳嗽が惹起されることがある。細胞外ATPとP2X3受容体の結合を阻害することで、C線維の活性化を抑え、咳嗽が抑制されると考えられている。」
今回紹介するのは、ゲーファピキサントよりも選択的P2X3受容体拮抗薬であるエリアピキサント(BAY 1817080)を、成人の難治性慢性咳嗽患者に用いるプラセボ対照ランダム化比較クロスオーバー試験です。筆頭著者は、慢性咳嗽の権威Morice先生です。慢性咳嗽に対する塩酸モルヒネの用法用量を、個人的にMoriceレジメンと呼んでいます。
参考記事:慢性咳嗽に対するgefapixant
- 概要
■period Aでは、プラセボを2週間内服し、その後エリアピキサント10mgを内服するという治療をおこなった。period Bでは、エリアピキサント50mg1日2回1週間、200mg1日2回1週間、750mg1日2回1週間をおこなった(用量漸増)。
■患者は1:1の割合で、period A→B群(20人)、B→A群(20人)にランダム化された。
■プライマリ効果アウトカムは、VitaloJAKで測定した24時間咳嗽頻度の変化である。プライマリ安全性アウトカムは、有害事象の頻度や重症度とした。
■37人の患者がクロスオーバー試験を完遂した。平均咳嗽頻度は、プラセボと比較してエリアピキサントのほうが17.4%低いという結果だった。また、用量50mg/日を超えると、明確に咳嗽が抑制されることが分かった(p=0.002)。
■安全性アウトカムはプラセボと有意差はなく、非選択的P2X3受容体拮抗薬で観察された味覚障害ほど多いものではなかった(23%)。
neuromodulator、リリカは効果があっても、タリージェでは今のところエビデンスはありません。リリカはドンピシャで難治性慢性咳嗽に効果がある場合もあるのですが、嘔気が出てしまうとなかなか継続が難しいところです。
治療選択肢が増えるのは本当にありがたいことです。ただ、味覚障害にはやはり注意が必要ですね。
by otowelt
| 2021-06-05 00:24
| 呼吸器その他










