安全性の検証:1024例のクライオバイオプシー

安全性の検証:1024例のクライオバイオプシー_e0156318_23404585.png
安全性のみに注目した研究で、特に気胸の発生頻度については参考になるところが多いと思います。気胸になると、ドレーンを入れたくなる虚脱が起こるものの、数日で虚脱が停止するということは、敢えてドレーンを入れなくとも乗り切れそうです。



  • 概要
■肺実質病変(PPL)の気管支鏡診断を達成することは依然として困難である。クライオバイオプシー(TLCB)は、大きな検体が得られ診断率が向上するが、安全性と有用性を説明するデータはまだ不足している。

■この研究では、PPLに対するTLCBの安全性プロファイルを調べた。

■2015年~2019年にPPLに対してTLCBを受けた、気管支疾患がない患者を登録した後ろ向き多施設観察コホート研究である。クライオプローブを使用して生検された症例を全て抽出し、出血、気胸などの合併症が収集された。出血は0(軽症)から4(外科的介入が必要)までのスケールで評価され、3以上を臨床的に有意であると定義した。気胸、胸腔ドレーン留置、診断遅延への影響、その後の介入の必要性についても記録された。

■合計1024人の患者がTLCBを受けた。188人(18%)の患者が出血を経験し、36人(3.5%)が臨床的に有意(グレード3以上)だった。68人(6.6%)の患者が気胸を発症し、64人(6.3%)が胸腔ドレーンによる胸腔ドレナージを必要とした。胸腔ドレーンはすべて4日以内に抜去可能で、遷延性エアリーク例はなかった。932人(91%)の患者で確定診断がついた。腺癌(46%)と転移性疾患(21%)が最もよくみられる診断だった。

■TLCBは、この大規模な後ろ向きコホートにおいてPPLの評価に耐えうる安全性プロファイルと診断率を有している。さらに検証するために、前向き臨床試験が進行中である。



間質性肺疾患(ILD)の診断は難しいです。胸部高分解能CT(HRCT)において典型的な画像所見を呈さないことが多く、血液検査のみで確定診断を得るのは困難であり、気管支鏡検査を行っても検体が小さいため診断が付きにくいからです。ゆえに、慢性線維性のILDに対しては、長らく外科的肺生検(SLB)がその診断の中心に鎮座していました。SLBとは、全身麻酔をかけて肺組織を外科的に採取することを意味し、侵襲的であるがゆえに、診断の目的のためだけに受ける検査としては合併症がある患者や高齢者にとってハードルが高い現状がありました。そこで登場したのが経気管支肺クライオバイオプシーです。軟性クライオプローブの先端部が約-45℃の低温になるため、組織を凍結して周囲ごと引きちぎることで組織を採取できます。これにより、通常の気管支鏡では得られない大きさの組織が採取できるわけです。




by otowelt | 2021-06-08 00:21 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優